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67話/たいが

ちっこい奴らが料理を前に行儀良く座るなか、思いがけず招かれた席に座る俺。並べられた料理は、見た目はなかなかのものだった。 俺が席に着くと美少年が号令をかけ、ちびっこたちが一斉にいただきますと手を合わせる。一拍遅れて俺も挨拶し、料理に箸をつけた。 「…旨い」 なんだこれ、マジで美味い!ちびっこたちの手料理は、美味そうな見た目に違わず、無意識に言葉が零れるくらい旨かった。俺の賛辞に、警戒していた様子の二人…多分、一年だろう。その二人のちびっこが嬉しそうに笑った。 俺の質問に美少年が答えてくれる。部長ってことはこいつが3年の卯月か。遠目でしか見た事がなかったから、小柄なヤツだとしか知らなかったが結構な美少年だ。他の奴らも卯月のような美少年じゃあないが、ちっこくて庇護欲をそそる。なんとも、捕食されちまいそうなヤツばかりだな…。 色違いの揃いのエプロンの胸元にはそれぞれ、犬、猫、兎、栗鼠(リス)小鹿(バンビ)のアップリケが付いていて、まるでトレードマークみたいだ。 そんな事を思っていたら、突然ムク犬が席を立って携帯を持って来た。ああそうだ。旨い飯のおかげですっかり忘れていたが、ここに来た当初の目的はムク犬のアドレスをGETする為だったのを思い出す。ムク犬と連絡を取り合って、明日の朝は俺と同じ時間帯の電車に乗るように言わなきゃな。 本当は俺がムク犬に合わせるつもりだったが、九条の奴も多分ムク犬に合わせているはず。今日みたいに、3人仲良く並んで登校なんてごめんだからな。 わざわざ携帯を持って来たのは、朝の約束を思い出してくれたからかと思ったら、ムク犬はいそいそと昨日写メったスイーツの画像をちびっこたちに見せていた。 「ねっ!スッゴい美味しそうでしょ」 携帯の画面に写し出された色とりどりのスイーツに、ちびっこたちの視線が食い入るように集中する。 「見た目だけじゃなくて、味もサイコーに美味しかったんだよう〜」 「ムク先輩、これ全部食ったのか?」 「うんっ!昨日ね、宍倉くんにホテルシークラのビュッフェに連れて行って貰ったんだ」 「ムク先輩だけずりー!俺も誘ってくれよーっ」 つり目の方の一年が叫ぶ。 「ごめんね、シマくん。昨日は僕も、たまたま宍倉くんに会って誘って貰ったんだ」 「…いいなぁ」 大人しそうな方の一年も羨ましそうにポツリと言う。 「ホテルシークラって、フランス帰りのシェフの料理が看板のひとつだよね。もしかして、そこのレストランの?」 「いいなぁ、むっくん。シークラホテルなんて、僕らじゃ到底無理だよねえ」 部長の卯月と小西までが羨んでる。

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