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90話/むく
スタートの合図と共に、一斉に走り出した第一走の選手達。
先頭に飛び出した陸上部の選手を追い駆けるバスケ部の選手とサッカー部の選手が、どんどん他の部の選手を引き離していく。
第二走、第三走と次々とバトンが渡されていき、宍倉くん達最終走者にバトンが渡されるときには、3チームの差は殆どなかった。
最終コーナーを曲がり、3人がゴールに向かって一直線に駆けてくる。
横一列に並んだ、宍倉くんとトーイくんとミツくんの差は全くない。
ゴールまで、あと5m、4m、3…、2…、1…
『ゴーーーッル!!』
3人は同時にゴールラインを越えた。
『ど…同着っ!!なんとゴールテープを切ったのは三人同時!陸上部、バスケ部、サッカー部が全く同時にゴールインしましたぁっ!』
…同…着…、じゃあ…3人とも1位って…こと?
『いやぁ!陸上部、バスケ部、サッカー部、共に期待を裏切らない見事な走りでした!特に注目のアンカー対決は、陸上部のエースを相手に一歩も引けをとらなかった、宍倉九条両選手の素晴らしい走り!天晴れと言う他ありません』
まだ息が整わずにいる宍倉くん達3人は、バトンを手に持ったまま大きく肩で息をしている。
3人の身体から吹き出す汗が、さっきの激闘を物語っていた。
係員から3人同着の結果を聞かされた宍倉くん達が、お互いを見て悔しそうに顔をしかめていた。
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