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95話/たいが

ムク犬の愛情弁当で腹拵えし可愛い寝顔もたっぷりと見て、体力気力共にmax充電した俺は午後の競技も難なく熟こなしていった。 プログラムは順調に消化され、残りの競技も僅かとなり本日の注目競技、チーム対抗リレーが近づいてくる。 トップを走る俺達A組チームの後に続くのは九条のいるB組チーム。そして他のチームともそれ程大きな点差はなかった。 つまり最終種目のチーム対抗リレーが今年も雌雄を決する事になりそうだ。 きっと一生懸命応援してくれるだろうムク犬の姿を思い浮かべていた俺だったが、そのムク犬の姿が見えない事に気付いた。 確か借り物競走に出る為に集合場所に行ったはずだが、その小さな姿は見当たらない。 それに借り物競走はプログラム順ならもっと前に行われていたはず…。 疑問に思っていると実行委員会から、プログラムの変更を告げるアナウンスが流れ始めた。 『えー、突然ではありますがここでプログラムの変更をお知らせします。最終種目のチーム対抗リレーは当初の予定内容を変更し、借り物競走とのミックス競技とさせて頂きます』 …はあっ!? 『これは午前の部のクラブ対抗リレーが近年稀に見る盛り上がりだった為、午後の部の注目競技であるチーム対抗リレーもそれ以上に盛り上げたいと言う実行委員会の意向により、本日二度目のサプライズとして借り物競走とチーム対抗リレーのミックス競技、題して「狩り者競争」を執り行う事としました』 まてまてまて!なんだそりゃ!?全く訳がわかんねぇぞ!! 会場からの戸惑いとブーイングが起こる中、生徒会長の桜木が姿を現した。全校生徒の大きなざわめきを余所に、実行委員は桜木へとマイクを渡す。 『今から競技内容の説明を行います。特に出場選手はよく聞いていて下さい。まずチーム対抗リレーの出場選手は全員一斉にスタートして貰います。そしてコース上にある箱に入れられたカードを引き、そのカードに描かれたイラストの動物を捕まえて下さい。制限時間内にゴールした選手には100ポイントが与えられます。』 桜木はそう言ってのけた。 コイツは一体何を言ってやがるんだ?紙に描かれた動物だ!?体育祭中のグラウンドのどこに動物なんかいるって言うんだよ!?マジで訳がわからねぇっ!! そう思っているのは俺だけじゃなく、全生徒から戸惑いの声が上がっている。サプライズとか言って桜木のヤツ面白がっているだけじゃねえのか? せっかくムク犬の弁当のおかげで、上がっていた気分が台無しになった気がして、苛つき始めた俺の目に、それが飛び込んできた。

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