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99話/たいが

最終種目のチーム対抗リレーと借り物競走のミックス競技『狩り者競争』の準備は整った。 本来なら出走順に走るはずの選手達はスタート地点に全員が並び、合図と共に一斉に飛び出した後、コース上の箱に入ったカードを引いてから獲物達を狩りに行くのだ。 所定の位置で獲物達は落ち着きなさげに競技の開始を待っている。 恥ずかし気に俯く奴や、怒りによるものか羞恥によるものか顔を真っ赤にしている奴、そんな中からムク犬の姿を探し出して頰を緩める。 愛らしいワンコ衣装に身を包んだムク犬。いい仕事してくれてるが一体誰があんな衣装を用意したんだ?桜木のヤツはサプライズとか抜かしていたがあんなクオリティの物いきなり用意出来る訳がねぇ。 まさかあの野郎、ムク犬のあの姿見たさにこんな企画(サプライズ)を企んだんじゃねぇだろうな…?よく見りゃ調理部のちびっ子達も全員いる。 そして、チーム対抗リレーは各チームの精鋭が揃うとあって、俺と九条は勿論のこと、牛島と桜木もいる。 ムク犬を狙ってると噂のある連中を横目で見ていた俺の肩がポンと叩かれた。また九条がちょっかい出して来たのかと()めつけながら振り向けば鷹取の姿があった。 「よう大雅。なんか面白い事になったな」 ニヤニヤと愉し気げに笑う鷹取の視線も、調理部のちびっ子達を(とら)えている。 「まさかテメエもムク犬狙いじゃねぇだろうな」 「言っただろ?俺は犬より猫派だって」 猫だあ?そういや前に同じような事を聞いたときにも鷹取のヤツはそう言ってやがったか? 猫って言葉で猫コスの生徒を探すと、ムク犬の横に立つ黒猫の衣装を着た小西真央の姿があった。 まさか、鷹取が狙ってるネコってのは小西の事か?

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