「雪」BL小説コンテスト
「雪」BL小説コンテストへのたくさんのご応募、誠にありがとうございました!
テーマの「雪」をポジティブに捉えるか、それともネガティブに捉えるか…それにより、かなり作品傾向が分かれました…!
雪の特性を非常に効果的に使用した作品も多く素晴らしかったです✨
昨年から3月にかけて全体的に暖冬でしたが、応募作品を読んでぜひ「雪」に浸っていただきたいと思います⛄
そして見事、最優秀賞作品は「電子書籍化」が決定!!
正式な配信日など決定しましたらまた追って公式より発表させていただきますので、どうぞご期待ください!
ご受賞された皆様、おめでとうございます!!
惜しくも受賞からもれてしまった作品につきましては、公式Twitter (https://twitter.com/fujossyjp )にて書評付きで紹介させていただきますので、そちらもぜひチェックしてみてください☆
――その後ろ姿を見た時、心臓が止まるかと思った。
最優秀賞、ご受賞おめでとうございます! 雪でストップした海外の空港で偶然の再会を果たす、疎遠になった幼馴染の2人…あえて距離を取った主人公・光太郎の気持ちに気づかず、当時と変わらない笑顔を見せる藍沢は、なぜ急に姿を消したのか、足止めをくらっているこの時間をたっぷり使って光太郎に問い詰める―…。 ゆっくりと二人の凍った時間が解けていく様子が見事です!運命の再会から、心理戦や探り合いの果てに見つけた愛に感動しました。状況説明も細かく、情緒たっぷりに表現されているのでイメージしやすかったです。 「仲の良かった幼馴染と距離を取ってしまう」という分かりやすい展開ではありましたが、「海外の空港で偶然の再会」「外は雪でその空間から逃げられない」そういった特別な環境で進められる2人だけのやり取りが非常にもどかしく、とても面白かったです。 読心術を自然と取得していた藍沢は【一番知りたい相手】の心が読めない悔しさを正直にぶつけますが、なぜ読めなかったのか解き明かされたラストに読者はみな驚いたとともに、救われた想いでいっぱいになったのではないでしょうか。 「雪」というものを上手に利用した、非常にエンターテインメント性の高い傑作でした!
盲目の青年と、口のきけぬ下男の話。
盲目の青年と口のきけない下男。2人の不思議な関係にはある深い事情があり……。 非常に作り込まれた、儚い人の想いを描いた作品でした。 冒頭から今回のテーマである「雪」を上手く利用し、そして繊細に表現されており素晴らしかったです。 この物語には3名の登場人物がおり、それぞれの関係が明かされる結末には、誰もが感嘆したことだと思います。誰も報われない、しかしその中で若干の穏やかさが垣間見えたシーンは非常にもどかしさを感じました。「醜い」と思いつつも、その顔を愛おしいと思ってしまう矛盾がとても切なかったです。 人間の愚かさ、業を緻密に表現し、「BL」というカテゴリーを超越した傑作です!読み終わった後、思わずもう一度最初から読みたくなる作品でした。
最期にひと目、あなたに会いたい
篠田航平と田宮暁生はかつて元家庭教師と教え子の関係だった。もともと惹かれあっていたはずだが、航平は自分の体裁のため暁生の姉と結婚。そして暁生は突然失踪してしまうが20年後の雪が降る大晦日に突然航平の前に現れる…。 20年前の後悔を引きずる航平の愚かさや、死ぬ間際になってさえ航平を想い続ける、暁生の執着に近いほどの愛。そしてそれを「間接的な心中」で終わらせるという見せ方に圧倒されました。全体的に悲壮感が漂っていますが、「死」が二人を分かつ時、お互いの想いが報われたように感じ、非常に巧妙なラストだったと思います。 あまりBLジャンルには見ない言葉遣いで、この作品をどこか不思議な気持ちにさせる効果的な文章でしたが、現代のお話を表現する場合はもう少し柔らかい表現でも良かったかもしれません。しかし、独特の表現方法は作者の特色だと思いますので、ぜひ次回作にも期待したいです!
【リビングデッド】の担当医は【雪男】です。
「死後生命保健」に入れば「リビングデッド」として生き(?)返る…。異種属設定などが面白く、楽しみながら読ませていただきました。 元人間でリビングデッドになってしまった山瓶子騏驎と雪男の馬男木先生のどこかズレている掛け合いに焦ったくなったり、少し鈍感な騏驎に対して必死な馬男木先生に同情したくなってしまう場面も笑!水滴で感情がまるわかりな先生が非常に可愛かったです。 また、他の登場キャラクターも魅力的でした。不要な人物などなく、登場しているすべてが愛すべきキャラクターだと感じました。 「死んでいるのにこれから新しく生活していく」というおかしな展開でしたが、主人公が天然ですべてを理解してしまうところにツッコミが追いつかないため、さほど気になりませんでした笑。 新感覚な異種族のファンタジーBL、初心者にもおすすめの作品です!
彼が死んでから5年。俺たちがこれから向かうべき道は。
5年前の大雪の日、あいつは亡くなった。足の悪いあいつがなぜ歩道橋になんか行ったのか…英太と雪弥は命日の今日、その歩道橋に花束を手向け、雪弥の自宅へと戻り愛を育むが、英太はとある事実に気づいてしまい―…。 明らかになっていく真実や伏線回収が見事でした。 会話のテンションや地の文は物語・テーマに合っており、終始つまづくことなく読了できました。若干、ある出来事のあとに疎遠になってしまった関係のシーンがあっさりしていた気もしたので、もう少し「あいつ」がいかに”人を大切にする”のかを描くと納得のいく結末になったのではないでしょうか。 些細な嫉妬や出来心から招いてしまった悲劇を、残された二人がどう克服して前に進んでいくのか…とても気になります!