ハロウィン2020

ハッピーハロウィン!

 

みかえもメンバーのハロウィンパーティーSSです。

 

《ハロウィン2020》

 

Side 鈴

 

「トリックオアトリート!」

「うわっ……て、りんりんかびっくりしたぁ」

 

 勢いよくドアを開けてお決まりの文句を口にすれば俺より先に教室に来ていたはづくんが大袈裟に肩を揺らして驚くもんやから思わず笑いが溢れる。

 

「へへへ、はづくんやほやほー!そしてトリックオアトリート!」

「はい、どうぞ」

「おぉ!準備が良いね!今年は何かな~?」

「去年と同じアイシングクッキーだよ」

「お、てことは手作りや!」

「お店のね」

「そう言えば売り場に置いてあったね」

「そそ、俺も手伝いしたからちょっとお裾分けして貰ったんだ」

 

 その言葉に頷いている俺に対し、悪戯っぽく口角を上げてはづくんが手を伸ばす。

 

「と、言うことでりんりん、トリックオアトリート」

「ほいな!」

 

 はづくんのそんな言葉に大きく返事をしてポンッとその手の平へ事前に用意しておいた飴玉を乗っけた。

 

「ありがと~」

「こっちこそありがと」

 

 お互い、交換したお菓子を片手に揺らしながら笑い合う。

 

「今年は黒猫?似合ってるね!」

「えへへ、はづくんは吸血鬼かな?去年の狼男も良かったけど吸血鬼も似合うね~」

「やっぱ定番かな~って、りんりんは去年魔法使いだったよね」

「そ!実はこの衣装、去年のモノをアレンジしてるんよ!」

「えーそうなの?凄いね、りんりん裁縫の才能あったんだ」

「ちゃうちゃう、俺やなくてこれは、」

「僕が作ったんだ」

 

 俺が言葉を発するより先に第三者の声が教室に響いた。

 そちらに視線を向ければ

 

「と、藤堂!」

「あおちゃんだ~!」

 

 可愛らしい魔女の衣装に身を包んだあおちゃんが立っていた。

 

「これね、あおちゃんが作ってくれたんよ!!あおちゃん凄いよね、裁縫もできてメイクも得意で女子力高い!」

「まぁ姉が2人もいると自然と身につくよね、それに着飾ることは嫌いじゃないし案外やってみると楽しいよ」

「藤堂にしては良い出来だな」

「わぁ珍しい、羽月くんが褒めてくれるなんてね」

「別に褒めてねぇし!りんりんに似合ってるって言ってるだけだし!!」

 

 相変わらずツンデレ気味なはづくんに思わず苦笑しつつまだ姿を見せない人物を頭に思い浮かべる。

 

「めーちゃん、今年はちゃんとした格好してくるかな……」

 

 ポツリと呟いた言葉に思い出すのは去年のハロウィンの事で

 

 

 ◇◆◇

 

 ~一年前 ハロウィン~

 

「めーちゃん、俺、今日ハロウィンパーティするから仮装してきてねって言ったよね」

 

 そう、言葉を放った俺の視線の先にいるめーちゃんは普段の服装に頭に白い三角巾だけをつけ、ピコピコといつものようにゲームをしている。

 

「うん、だからしてきたで」

「いやいやいや、めーちゃん普段と変わらんやん!!」

「何言うとるんりんちゃん、ちゃんと頭巾つけてるやろ」

「いや、それ以外なんも変わらんやん!普段のめーちゃんやん!!……一応聞くけどそれは何の仮装?」

「新作ゲーム発売前日に不慮の事故で亡くなって、未練を残したまま地縛霊になったゲーマーの幽霊の仮装」

「設定長!!もーめーちゃん!!」

 

 ◇◆◇

 

「あの時のりんりんぷんぷん怒ってたもんねー」

 

 思わず乾いた笑いが漏れた俺に対して同じように去年のことを思い出していたのかはづくんが小さく頷きながら肩をぽんっと叩いた。

 

「まぁ流石に去年あれだけ宮前くんが言って聞かせたんだから今年は咲良くんもちゃんとした仮装してくるんじゃないかな」

「いやーでもめーちゃんやからなぁ」

「めいめいだもんねー」

 

 そんな風に話していればタタタタッと言う足音が近づいてきてガラッと、再び勢いよくドアが開いた。

 

「みんなお待たせ、アレクさんだヨ!」

「アレクさんだー……って、めーちゃん?!」

 

 ドアの方へ視線を向ければそこには魔王?悪役?ぽい格好をしたアレクさんがいた。

 そしてそのアレクさんに引きずられるように教室に入ってきたのは不満顔を隠そうとしないめーちゃんであった。

 そのめーちゃんの格好は

 

「なんか、勇者っぽい仮装?」

「あれだ、咲良くんが最近よくやってるゲームのキャラの格好だよ」

「当たり!ボクがさっくんの為に作ったのサ☆」

 

 あおちゃんの言葉にアレクさんがグッと親指を立ててウインクをする。

 

「凄いですね!」

「でもめいめい何か不服そうだね」

「そりゃいきなり連れ出されて訳分からんままに着替えさせられたら誰でもこんな顔なるやろ」

「えぇーでもでもめーちゃん凄く似合ってるよ!」

 

 そう、俺が素直に思ったことを伝えれば少しソワソワしながらめーちゃんが

 

「そ、そーか?まぁ確かに精巧に作られてるし、悪くないなぁとか少し?少しは思ったりしとったりしたけど」

「カッコイイよ!!」

「りんちゃんがそう言うなら、まぁえっか」

「めいめい単純……」

「羽月には言われとぉないな」

「何それー」

「はいはい、2人とも落ち着いて」

「全員揃ったし、早速パーティを始めようヨ」

 

 そう言ったアレクさんの言葉に全員で目配せをする。

 

「ではでは、」

「「ハッピーハロウィン!!」」