誕生日【村上昴】
12月24日は村上昴くんの誕生日でした!
HappyBirthday!!
・:*+.\(( °ω° ))/.:+✨
《昴と彰》
「あ」
いつものように健斗さんの家に行く途中で今日の晩御飯の食材を買いに放課後、近くのスーパーへ寄った。
今日は何を作ろうかな、と考えながら野菜コーナーを眺めていた時、隣にやってきた男の人が漏らした声に思わずそちらを振り向けばその男の人と視線がかち合う。
眼鏡と帽子を深く被っている姿に表情はあまりよく見えなかったけれど何故だか眼鏡越しの目に既視感を覚えて自分の記憶を振り返ってみる。
誰だっけ……
どこかで見た事ある気がするんだけど……
元々人の顔と名前を覚えるのが苦手で、あまり人と視線を合わそうとしない自分がそれでも記憶に引っかかっているくらいの人物なので確実に知人、又はどこかで見かけたことがあるような気もするのだけれど全くといって思い出せない。
でも、向こうの反応からして知り合いの可能性高い、よね……
「あの、すばるくん?だよね」
そうやって考えていれば戸惑いがちに男の人がそう、話しかけてきた。
その言葉にどう返して良いのか分からず思わず黙ってしまう。
「……」
どうしよう、知ってる人かもしれないけれど全然思い出せない……
俺がそうやって黙っていれば再び「あ!」だなんて男の人が声を上げて慌てた様子で喋りだした。
「えっと、突然ごめんね、その俺の弟が君と同じ高校に通ってて九条愁也って言うんだけど……」
そう、遠慮がちに話し出した内容にクラスメイトであり、同じ部活に所属している人物の顔が浮かんだ。
そんな俺の表情の変化に気がついたのかほっとした表情を浮かべ更に続けて目の前の兄だと名乗った人は話し続ける。
「俺はもう家を出ていて一緒に暮らしては居ないんだけど会う度に写真を見せてくれて嬉しそうに話しててね、中でも同じ歳のすばる君の事はよく話に出てくるから覚えちゃって、思わず見かけた瞬間声が出ちゃったんだ」
あいつ何話してんだ……
話の内容が気になって思わず顰めた顔にクスクスと笑われて少し気恥ずかしくなる。
そうしてそんな俺に対し
「いつも弟と仲良くしてくれてありがとう」
だなんて言って笑った顔がそっくりであぁ兄弟なんだなってストンっと落ちてきた。
その言葉に対し、小さく「はい」と頷くことしか出来なかった俺に満足そうにして「それじゃあ、突然話しかけてごめんね」と言って去っていった九条さんの後ろ姿を眺めていれば近くに貼ってあったポスターに視線がいく。
「あ」
今度は自分の口から声が漏れ出ていた。
「あいつのお兄さんって……」
そりゃ見たことあるはずだよな、いや、それよりも
「有名人もこんなスーパーに買い物来るんだな……」
なんて思わず出た言葉は誰に拾われるでもなくスーパーの喧騒に掻き消された。