インターネットホラーストーリー BLじゃないよ

SNSで知り合った。

とにかく趣味がばっちりあって、文章ひとつで笑わせてくれる。

性別すらわからなかったけど、とても好きだった。

個人的にメッセージを送り合うようになった。

 

好きな映画を語り合い、ツボなジョークを交わし合う。

彼女としてるメールよりよっぽど面白かった。

会いたいと思ってしまった。

こんな人、他にはいない。

「会わない?」尋ねた。

ドキドキした。

女の子だったなら、恋になるかもしれないし、年上だったり、男だったらとても大事な友達になる

 

しばらく返事が来なかった。

いつもならすぐに来るのに。

なやむ気持もわかった。

慌てて「嫌なら気にしないで」そう打った。

それと入れ替わりにメッセージが来た「いいよ」それだけだった。

いつにしようとも、どこにしようでもなく。

 

 

「いつにしよう」慌てていれる。

この機会は逃さない。

「どこがいい?」どこに住んでるかも互いに知らない。

メッセージはすごい速さで返ってきた。

「今」「ここで」

ジョークか。

笑った。

その途端、スマホの画面が真っ黒になり部屋の蛍光灯が弾き飛んだ。

 

ずるりずるり

部屋の暗がりから何かが這いずりでてきた

 

見えない何かががのしかかり、冷たい濡れた何かが頬を掠めていく。

それは悪臭のする、髪のように思えた。

凄まじい腐臭に嘔吐く。

 

「会イ・・タカッタ・・」

何かを垂れ流しながらソレは言った。

「一緒ニ・・・行キマショウ・・・」ヌルヌルとした肉の指が喉を締めていく

 

会いたいとは言った。

でも一緒にいくとは言ってない。

そういうヒマもなかった。

 

行方不明だった少女が腐乱死体で見つかった。

家族と住む少年の部屋で。

少年は絞殺されていた。

不思議なことに少年が死ぬ寸前までしていたSNSで、死んだはずの少女のアカウントとのやり取りが残っていた。

誰が少女に成りすましていたのか、誰が少女の死体をもちこんだのか、それは分からないままだった。

 

画面の向うにいる相手が、生きているとはかぎらない

終わり