ツーリスト 3
ツーリスト 3
搭乗アナウンスが入る。
チケットとパスポートを、確認して
行ってらっしゃいませという言葉に
ありがとうございます、と返す彼。
こんなとこまで素直で、可愛いと思う気持ちが込み上げてくる。旅への期待とともにそんな感情が今日は特に激しいみたいだ。
手荷物をオーバーヘッド ストレージに入れて、席に落ち着いた。
三席のシートの真ん中と通路側。
窓側のシートじゃなくて残念だな
と言うと、微笑んで大丈夫と返してくる。
便は満席らしくどんどん乗客が荷物を持って乗り込んでくる。
あの、という女性の声で上を見ると、髪の長い若い女性が立っていた。
すみませんこの奥の席なんですけど。
2人で立ち上がり、女性を奥に通そうとすると大きめのバッグを持っているのに気がついた。俺があげましょうか?と言うと、少し遠慮気味にお願いしますとバッグを預ける。