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(延長戦)親バレのち嵐(1)
親が学校に行っている。何と両親揃ってだ。父さんは行かなくてもいいのに、会社の夏休みと重なっていたから、教師というものに会っておきたいと言い出した。
あー、頭が痛い。腹も痛い。
担任の新橋は両親に何を吹き込むのか。
それに幸彦の方も親が呼びだしを受けているらしい。あっちはお母上がお母上だが、現実と空想は違うとすみれさんに言ったともいうし、どうなるかわからない。
落ち着かなくてリビングの中をぐるぐる回る。
スマートフォンが鳴りだした。幸彦だ。
「もしもし?」
『うちの親は話が終わったみたい。家にいろって今電話で言われた』
「あ、手に手を取って駆け落ちという手があったか」
『やめて。すみれちゃんの餌食になっちゃう』
「それはいやだ」
幸彦が声のトーンを落とした。
『朔夜、好きだよ』
「俺もだよ、ゆき」
幸彦がふふふっと笑ったのがわかった。息がかかっていないのにくすぐったい。
『してるときみたい』
「するか」
『何を?』
「テレフォンセックス」
幸彦がははははっと笑った。
『朔夜、前向きなの? やけっぱちなの?』
「やけっぱちだけど、やりたいのはホント」
『魅力的だけど、デバガメがいるから無理だよ』
すみれさんのことか。それでは駄目だ。
「じゃあ声だけ聞いていたいな」
『うん、僕も同じ気持ちだよ』
吐息のような幸彦の囁きにぞくぞくする。
「ゆきの声、色っぽいから硬くなってきた」
『こらこら、自分ばかりずるいよ』
「そんなこと言われても、たってきたのはしょうがないじゃん」
『それなら、ズボンも下着も脱いじゃえば?』
「親が帰ってくるかも」
『どきどきするでしょ?』
「意地悪くなるよね、時々」
ふふふっと小悪魔の笑みが耳をくすぐる。
『脱いだ?』
「今、脱いでるところ」
『脱いだらね、太ももの内側を手のひらでゆっくり撫でるんだよ。僕の手だと思ってね、朔夜』
目を閉じて、幸彦の声に集中する。
『まだ、掴んじゃ駄目だよ。僕がなめてると思って後ろの穴をゆっくりほぐして』
「指は入れたくないよ」
『入れなくていいよ、柔らかく刺激するだけでいいんだよ。僕がなめた時みたいに、指先の腹を押し当てて、円を描いて』
幸彦の言葉を聞くだけで興奮する。
『そこから前になで上げてきて、そうしたらご褒美に掴んでもいいよ、立ち上がってる朔夜の硬いもの』
「ああ……、ゆき」
『先端のぬるぬるを親指で広げて。くびれをやさしく掴んで上下させてね。乾いているから無理は禁物だよ』
「ゆき、ああ、ゆき……」
『ほら、どんどんぬるぬるしたものがあふれてきてるよ。それを上手に使ってね』
ゆきの言葉のままに夢中でこすり上げる。
『僕も朔夜のくわえたいな。口いっぱいに頬張りたい』
甘えた声に俺の体はどんどん追い詰められ、うわごとのように「ゆき、ゆき」と繰り返しながらしごいて、上り詰めた。
「あっ……」
『ああ、朔夜、いったんだね。可愛い、朔夜……』
朔夜の声を聞きながらぼんやりとしたひとときを過ごしてから電話を切ると。俺は現実に戻った。
すぐに後始末だ。
お湯で絞ったタオルで体を拭いて、パンツを替え、タオルを洗い、タオルとティッシュで床に飛んだ飛沫を拭う。ベランダのガラス戸を開け匂いを飛ばす。
ガラス戸を閉めてエアコンがようやく効いた頃、両親が帰って来た。セーフ。
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