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(7)反対
「俺は反対だ」
紫之の部屋で企画展の説明をしたら、ベッドに腰を掛けていた光は手のひらを返したように険しい顔になった。
「期間中、しのは毎日在廊する気なんだろう? 体がもたないよ。それに追納もするなら、作品も同時に作るんだよな。今でさえ体が弱いのに、無茶させるわけにはいかない」
「展示は半年も先だよ。作品は作りためておけばいいし、それこそ光と毎朝散歩するようにして、体を鍛えていけば僕だって――」
「これから寒くなるのに毎朝散歩半年なんて現実的じゃない」
紫之は口を尖らせてつぐんだ。
(明日から散歩しろって言ったのは、光じゃないか)
「それに尊敬してるって言ってたけど、まだ三十代の若造だろう?」
鋭人をけなされてカチンときた。
「年なんて関係ないよ。紙ですごい作品つくり出している人なんだから。他に参加する切り絵作家さんだって僕なんかが並んでいいようなレベルの人じゃないんだ」
「じゃ、止 めとけば?」
光の言葉に紫之は頭を殴られた気がした。
「並べないと思うのなら、止めときなよ」
光が顔をのぞき込んでくる。瞬きをしない目が怖い。
「しのは自信がないんだろう? その人たちと作品を比較されるのが怖いんだろう? 自分の作品だけ客に素通りされたら怖いんだろう? 売れなくてすべて梱包して帰るのが怖いんだ。だったら、今は止めておけば?」
ぽろりと涙がこぼれた。
「なんでそんなこと言うんだよ。せっかく外へ出て行けるいい機会だと思ったのに。光も先生も外へ行けって言うじゃないか。それに売るのだけが、目的じゃないんだ」
興奮して握りしめた拳が震える。
「僕は作家さんたちと直接会って話をしてみたいんだ。どんなに尊敬しているか自分の言葉で伝えたいんだ」
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