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落ち着いたところで、秀人の前に座って切り出した。
「しばらく大学行かない方がいいかもよ」
「え?」
秀人が声をもらした。
「君、何の研究しようとしたの」
「オメガとアルファがスポーツで競い合うことについて」
「スポーツ特待生じゃなくなったのに、なぜ体育学科にこだわってるの?」
秀人が口を尖らせた。これは癖なのかもしれない。
「オメガがスポーツを楽しむだけじゃなくて、アルファと競ったっていいじゃないか」
「監督さんはあまり学科や部のことを知られたくないんじゃないかな」
明嗣の言葉に秀人は大きく首をかしげた。
「なぜ?」
「未禁止薬物研究」
秀人が絶句した。
「医薬品会社と共同で、まだ禁止されていない薬物の研究するには、より基礎能力が高いアルファだけが集まっていた方がいい。いい記録が実績として出るし、その方が秘密も保ちやすいしね」
泣きそうに秀人の眉根が寄る。
「そんな……」
(こんな顔もするのか)
「君が怪我した予選で、代わりに試合に出場したのは誰?」
「その時の副主将――福田さんと付き合って……」
絶句した秀人の頬にぽろりと涙がこぼれた。
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