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5.ミニ雪だるま(2)
その背を見つめた俺の前で、肇が身をかがめた。
何をするのかと思って視線をやると、雪をかき集めて雪だるまを直し始めた。
「肇?」
いつもは雄弁な肇が無言だ。
「おい、冷えるぞ」
一心に雪をかき集めて、何も言わずに無事だった雪だるまに合わせて形を整えていく。
俺は言った。
「明日の朝には解けてるかもしれないだろ」
「明日を楽しみにしているかもしれないじゃないですか!」
肇に大声を出された。その勢いに絶句する。
「この辺は雪なんかめったに降らないんです」
バスの中で聞いた言葉をまた肇が繰り返した。
「まして雪だるまが作れるほど積もるなんて五年にいっぺんくらいです」
顔を上げた肇の目が濡れたようにきらめいた。
「それだけ大切な思い出なんです!」
肇が雪だるまの修復に戻った。
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