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7.ミニ雪だるま(4)
作り直し終わった雪だるまを二人で眺める。
「秋央の作った方がきれいな形だ。これが年季の差かあ」
「俺が雪だるまなんか作ったのは遠い昔だよ」
それでも何となく満足感があった。
肇がスマホを出して写真を撮っている。
その時になって初めて俺は気がついた。
「お前手袋していなかったのか」
恥ずかしげに肇が頭を掻く。
「忘れちゃって」
「何でこんな日に限って」
そう言いながら(コイツは梅雨にも傘を忘れた奴だった)と思い出していた。
俺は手袋を外した。そして少なくとも確実に肇よりは温かい俺の両手で真っ赤になってしまった肇の手を包み込んだ。
「秋央の手が冷えちゃう」
「ポケットに入れていけばいいさ」
肇の左手を俺の右手で掴んでポケットに入れた。お互いのバッグを反対の手で持つ。
「帰ろう」
「はい」
俺たちは四体の雪だるまに見送られながら家に向かった。
再び雪が降り出していた。
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