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ー天界・光皇城・白鷺の庭・グラーデン邸・リビング ふわりと風が吹いた。 青年は、現実へ戻され、軈て優しい笑みを浮かべた。 「あ、父様か」 風を吹かせた相手を察知した彼は、本棚から新たな本を取り出した。 赤にも近い色をした本は年代物でかなり古びた感が漂う。 タイトルを読もうにも、文字が古代語で記されていて解読に時間が掛かりそうだ。だが、彼は苦だとは思わない。 「母様のオリジナル古代語尽くしの本!こいゆう時に役に立つ…」 パラリと、開かれた本にはぎっしりと、古代語が記されていた。 母親は古代語のパーソナリティー。天界ならず、魔界の方も冥界の方も読めるらしい。 ただ、聖霊界に関しては教えてくれなかったのを覚えている。 「…触れてみると意外に難しい」 指で文字をなぞっていくと、早速、難関に躓く。 これ、三徹ぐらいじゃ済まされそうにないかもと心の中で思った青年は、本と睨めっ子を始めた。タイトルが気になって買ったは良いが、読めなければ意味を成さない。 「紅い月で良いのかな?」 珍しい内容だと断言出来る。 「ん-…幼き頃に触れたかな?僕の中では、記録されていないんだけど。大事そうだから記しておこう…」 そう言いながら、ペンで紙に記した。 後から日記に書く為だ。 書いておくのが日常の為、忘れたりしたら一大事になる。これは、幼い頃に母から教えてもらった事。 日記を付ける楽しさを覚えてからは、字を書くのが好きになった。 ま、一番の影響はオペラにある。 文章に触れるのが嬉しくって、解読する様になった。 一度だけ、母の書斎部屋から一冊の本を取った事があった。開いてみると、凄く興味が湧く文章が一杯広がっていて、夜通し読んでいた。 キラキラした世界が広がった気がした。

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