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思わず愕然する儂は、肩を落とした。 此処、数年呼ばないせいか、忘れていた。 そんな儂の姿を彼女は、ほほくそ微笑うのだろう。 『ー…転生して、名が変わったのだから…“レイナ”じゃなく。“樹”と呼んで良いかと。そんな長時間悩まれてもウザいですわ…』 今、凄い貶しの言葉が聞こえた。 「う、ウザい?」 『えぇ、ウザいです。長年思いますが誰の受け譲りですか?』 不思議そうな表情で彼女は質問してきた。 従者は主に似ると云うが、主に限って有り得ない。それは、彼女が生んだ御子に失礼極まり無い。 考えられるのは…。 主の伯父が原因かも知れない。 まぁ、今思った事は内緒にしておこう。 「さぁ、部下ですかな…。ははははっ」 頭を掻き上げ、儂は笑いながら誤魔化した。 これ以上、追求されたら困る。 『部下ね…。で、小説読んでくれますか?そうじゃなきゃ、夜の精霊に変わってもらいますよ…』 「…」 『…彼方も出演していますものね。印象的で、お茶目な感じが世の人を擽るんじゃないかしら』 それって、儂の部下…。 お茶目なのか? 益々、彼女の思考が解らない。 彼は一体、何のアピールしたのやら。 否、考えただけで予想出来ないので顔を出した時に聞いてみるとしよう。 それに、先程から話している有名な作家、シェークスピアの『真夏の夜の夢』は確かに精霊が出てきたり、各言う儂も出演しているが。あの作品は結構古くて、若い童神に楽しめる作品なのか不思議でならない。 どちらかと言えば、ティターニャを好きになりそうなんだがな。 儂、オベロンは凄く嫉妬深く描かれている。 何故、知っているかは検討付くだろう? 『真夏の夜の夢』が公開した時に、観たからだ。 現実とは思えないリアリティーさを、買っている。

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