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彼には悪いが、この悪代官並みの顔をしている父親に認めてもらえるのか、正直不安な男性。 光皇城の何処かに存在する場所に棲んでいると聞いてはいるが、大叔母は教えてはくれなかった。 『探すな』とは言われていないが、やはり、相手から出てきてくれないと詰まらない。別に互いが隠れんぼをしている訳じゃないから、逢いたいと思えば逢える。 「ー…ただ、彼方は本に夢中で俺の存在を忘れているに違いない」 そう、唯一の趣味と言っても過言ではない本を読んでいて、俺の存在すら其処にあるのか解らないのだ。 あるとすれば…。 幼き頃の記憶か。 「いけない、仕事進めないと…姫神専属の恐い陰険眼鏡を夫に持つ者に怒られてしまう…」 止めていた手を動かす男性は、綺麗な字で纏めていく。 しかし、運命とは面白い物を置いていくもんだ…。 青年の大好きなのが、オペラとは意外な一面。天然で、のほほんな表情をした彼がオペラに嵌まるとは男性にとってドストライクだった。 あの壮大なオーケストラが何とも言えないのを知っている。 だから、嵌まってしまうのも解るのだ。 十九世紀を舞台にした作品は沢山ある。 クラシックを題材に作った作品も中々、味のあるものとして仕上がっていて、思わず『アンコール』と叫びたいくらいだ。 一時、ローマに棲もうとしていた時代もあった男性は、劇場通いをしていた。 王族や貴族が楽しんでいた華やいだ舞台が、あんな盛大さに包まれるとは、奇跡に近い。 何より、印象的なのは…。 シェークスピアの作品だった。 彼が書く作品は何れも有名で喜劇の中では一番だと思っている。 クラシックの中では、モーツアルトの『フィガロの結婚』が有名だ。 しかしながら、シェークスピアの『ロミオとジュリエット』や『ジゼル』とかじゃなく。

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