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『真夏の夜の夢』がズバ抜けている。
オベロンが嫉妬のあまり、妻ティターニャに一服盛るシーンは中々のものだ。
後は夜の精霊は見物で笑える…。
あれは、一つの芸だと思っているが、聖霊界とはコンタクトをあまり取らないので。実際はどうなのかを知らない。
見ている分には、お茶目なキャラだと思っている。
あいゆうキャラは、場を和ませる重役な気がしてきた。
出演しているオベロンには悪いが、配役としては夜の精霊のポジションは美味しい。
若い恋人達は、互いの恋愛が成就しないんだと解った瞬間に魅せる純粋さは無く、醜い部分まで上手く描かれている作品だ。
当時の作品にしては、面白可笑しく、素敵な夢を見せてくれるモノである事には変わりないと、男性は感無涙させられそうな気持ちを抑えた。
「…えっと、これで終わりだな」
報告書を見直してから確認した。
今日の仕事は一段落付いた。
後は、魂の報告書と火山と水量…。
この辺は、どう考えても光皇帝きっての問題児二人の仕事な気がするのだが。何で、俺に回ってきている。
ー…母の企みか!!!
『あの問題児に任せてられないから、湫ちゃんに回しちゃえ!』とか言って、上司の断りも無く、勝手に回していそうなのが前姫神の弟君“霰月(あらつき)様”専属の母だ。
思い出した彼は、次第に怒りが込み上げる。
何故、親族の者と同じ『しゅうちゃん』と呼ばれているのか解らないが、息子の名前を知っているなら普通に読んでも良いと思う。
故に、抗議した頃もあったが…。
ー…敗北。
「好きに呼ばせようと決めた日には、光皇城全体に回ったのは言うまでもない。あの人…凄いんだ。自分の母親ながら…」
遠い目をしながら、明日の仕事内容を頭に叩き込む。
累計出すのは良いが…。
手っ取り早く、終わらせるには。
兄を脅すしかない。
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