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それに、研究代とかも掛かると聞いているので、何時の日か、形に出来たら良いなと思う。
兎に角、行きたい過去に辿り着くまでは瞳を開けたいという好奇心は抑えよう。後から、母様の耳に入ったら大変だ。
別に、浮遊力が苦手とかじゃなく、万が一の危険を考えた時の保険。
他の時代に行かされても嫌だし…。
僕が知りたいのは、父様の家系一筋で。
運よければ、小説の材料にしてみようと企んでいるんだけど、本を一冊作るのは大変だと熟知している分、どんな形で物語を構成していこうか、迷っている。
グラーデンの歴史の中で、僕自身が刺激を受ける要素が含まれているのか楽しみで仕方ない。
実際に触れられるのって、貴重なんだけど、走馬灯みたく、映像で流れていくだけなら意味を成さない。
それが、何よりの疑問である。
あ、思い出した。
ある本に時空旅行というタイトルの本があった。
話の内容を読んでいると、幼なじみが時空の歪みに飲まれたと書いてあった。
所謂、ブラックホールだよね?
これに関しては、母様が歪みを作るのが得意だ。
それも、にこやかな笑顔で案内するもんだから、天界の神々を含め、父様も恐怖だと聞かされた事がある。
だから、怒らせない様にしようと暗黙の了解が生まれたらしいけど、僕的には歪みの原理が解らない。
ある者は『隕石が、どかーんと過ぎていくんです。それもマッハで』と、言っていたけど。秒速、何メートルくらいなのかを計算してから出して欲しい。
驚きのあまり、腰が抜けて、動けなくなったらしい。
母様、今度、歪みの作り方、教えてくれるかな?
原理さえ解れば、僕も歪みを作れる筈なんだ。
何かに使えるんじゃないかと思って、父様に確認しようとしたら、一度、断られたから。歪みを作るのが得意な母様に直接、聞いた方が早いと確信した。
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