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【樹side】 「ぶふっ….」 突然、息子の気が流れてきた。 思わず、吹いてしまった。 あの子…。 時空通りながら、何を考えているかと思えば、幾年か前にあげた『時空旅行』の事やら、歪みの事やらと、色んな説を浮かべて。 本当、父親似ね…。 精霊の王オベロンを前にして失礼だけど、息子の変な拘りが流れてきてしまったのだから、仕方がない。 そして、何故、歪みに辿り着き、私を思い浮かべたのか。今度、写真に話を掛けてきた時に聞くべきね。 「まぁ、此方の件は、片付いたから…。後は、彼を脅せば、終わり」 息子、靉流が小説を仕上げたら、少しは精霊の王オベロンも協力してくれるでしょう。 ずっと、憧れてきた彼に逢える日を夢に見ている子だから、一肌脱いだけど、彼方の件が残っている以上、油断は出来ない。 シェークスピアの『真夏の夜の夢』…。 オーケストラだけじゃなく、バレエにも使われているとは人気が高い作品。 ソプラノやテノールといった歌手が声を張り、表現する世界がオペラ。 それを劇場で楽しむんだから、十九世紀の世界に連れて行って正解。 でなければ、感受性豊かな子に育たない。 色んな作品を密かに書いているみたいだけど、やはり、ここは実体験を元にした話を書いて欲しいわね。 「グラーデンの歴史…」 題材にしては、凄くベストだと思う。 それを日記にして残すというのが、最大の課題。 天界の大図書館に残してもらえると良いわね。 私は、そう思いながら、次なる相手に先手を打とうと考えていた。 息子が、時空を潜り、過去に辿り着く前に…。 彼と、コンタクトを取っておかないと、後が大変になるのを承知している。 それから。 「…とりあえず、靉流の頭にある歪みに関しては、どうにかしないといけないわね」 あの子、本当にやりそう。

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