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ー冥界・グラーデン邸・会議室 「ですから…問題は、冥界王族としてフォルテッシモが上なのは解ります」 一人の男性が呆れた声音で吐いた。 数人並ぶのは、グラーデンの親族達だ。皆、思い詰めた顔で、男性の意見を聞いていた。 冥界を統一しているのは、冥界王族の頂点に立つフォルテッシモだが、このグラーデンだって歴史ある家系だ。 「仕方ないだろう。フォルテッシモと担っている仕事が違う。今回ばかりは、目を瞑るべきだ。リュー」 「目を瞑れと、言われても納得出来ません…」 「伯父の言う通り目を瞑るべきだ」 「アズイまで…」 『リュー』と、呼ばれた彼は父親と従弟に促されながら、肩の荷を下ろす。 そもそも何で会議を開いているかというと、冥界五大王族が担う仕事についてだった。他の王族は決まっているから安心だが、フォルテッシモとグラーデンだけは決まっていなかった。 「フォルテッシモが優先的に、担った方が私達も楽って事だ。厄介な仕事だった場合を想定したら、グラーデンより、フォルテッシモで良かったと思う…」 アズイの考えが今一度、掴めない。 確か、来月あたり契りを交わすんじゃなかったか? 首を傾げながら彼を見つめた男性は、小さな溜め息を吐いた。 仕事の件になると、有利さを考えるのが従弟の癖である。 確かに、面倒臭い仕事だった場合を想定したら、フォルテッシモに任せた方が効率的にも良い。それに加え、楽な方を選んだ結果的にオーライというパターンもある。 この場合は、アズイの意見もありか。 「解った。今回の仕事は、フォルテッシモに任せて、グラーデンは死神界の仕事を手伝います」 「ー…だそうですよ、伯父貴…」 男性は、隣に座っている伯父の顔を見た。 綺麗に整えられている白髪の頭、不躾に生やされていなく、剃られた髭は彼の憧れだった。

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