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3ー9
【湫side】
「やっと、終わった」
これで多いなく、休日が取れる。
庭にあるテーブルに紅茶を置いて、優雅にティータイム。
お菓子は、ほんのり甘い焼き菓子を用意して、ゆっくりとした時間を過ごす。
『それ、楽しそうね…。お久しぶり…』
「…っ」
何で、写真の中から出てきているんです。
というか、何処から覗いていたかが正解な気がする。
『素敵な休日の過ごし方。一瞬、フランスの優雅な姿が出てきたわ…』
「すみません。樹様」
『別に、からかっている訳じゃないわ。素敵な映像を見せてくれて有り難う。流石、靉流の選んだ相手…』
「当の本人は、本に夢中で、俺の存在すら忘れていますよ」
そいゆう樹様も、流石は靉流の母親だけある。
抜かり無い調査と言った所か。
時折、彼が漂わす雰囲気は、父親譲りの部分があるかと思っていたが。樹様の雰囲気も纏っているんだな。
『さぁ、あの子は自分の世界に入ると、周りが見えなくなるから…。でも、ちゃんと…想っているんですよ…』
ふんわりとした表情を浮かべる彼女は、息子の事を話す。
滅多に、逢わないとは聞いていたが、様子だけは伺っているらしい。
そいゆう風に育てられてきた靉流は、少し天然が発生してしまうのは、仕方ない事だ。
時々、はっとさせられるのは目に見えている。
早く…。
逢ってみたい。
「一つ質問良いですか」
『何?』
「靉流の父親を、俺なりに想像してみたんです」
『えぇ…』
樹様、申し訳ありません。
「凄く、極悪顔になるんです。アズイ・G・フィニア卿の顔が」
『…』
やっぱり、黙った。
樹様に言ったら解決するんじゃないかと思ったら、逆だったか。
どう想像しても無理だったから、訂正出来ないんです。
俺の脳内は、拒否プラス不可能だと判断した。
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