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3ー11

君が夜の世界に飛び立つ華なら。 僕は、そっと、解き放つ。 此処は…。 誰も来ない場所。 だから、特別に珍しい世界へと案内してあげよう。 耳を傾けてみて。 聞こえてくるかな? これは、僕が魅せる物語の始まりで、最高のエンターテイメントを開くの。 まだ、誰にも見せた事が無い物語だから…。 秘密にしてくれると有り難い。 それはそれは…。 素敵な世界だと思う。 精霊達が踊り回る場所に、僕は寝ているのだから。 だけど、何時しか、消えていく…。 何時も決まった時間になると、僕は本の世界へ誘われる。 君にも見せてあげたいけど。 生憎、店員オーバーらしい。 こうやって、君が夜になると現れて聞かせてくれるエチュードが恋しくなるよ。 まるで…。 其処に、大きな舞台が用意されているように。 十九世紀のローマが現れた様な感じで、心が踊る。 舞台で壮大に流れる大きな音に、胸を弾ませ。 観客席から眺める光景は最高だ…。 僕が、この世で一番好きな瞬間が映る。 オペラの迫力感は、実際に味合わないと解らない。 今宵の感じからすると、しっとり且つ、ガッツリとくる感じがする。 流れてくる曲が『ショパン』の『革命』。 エチュードの中では有名な曲だ。 これから、どんな物語が生まれるのか、僕はワクワクする。 君が奏でてくれる曲だから…。 闇夜に照らされる月に、孤高のピアニスト。 弾いている曲は『ショパン』の『革命』で、決まった時刻になると音は止む。 そんな場所に、僕は上を眺めながら月を見つめていた。 こんな風な気持ちになるのは、君の愛しげに演奏をするピアノに、自分の本を照らし合わせるからだ。 恥ずかしくって、見せられないけど。 素晴らしい作品を作りたい。 僕だけの、僕だけが魅せる事の出来る物語を。 甘い誘惑の先に居るであろう君に。

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