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第五話:冥の宵に、咲き乱れるは白き華(靉流side)

ー冥界・グラーデン邸・庭 広がる世界に一筋の光と共に、僕は目覚めた。 見覚えがあるのは、父様の記憶だろうか。それとも、幼い頃に一度だけ、来た事があるのだろうか。 しかし、一つ…。 不思議な事がある。 いくら、過去に来たとはいえ、僕の姿が見えない。 これは…。 多分、母様のお陰だと思う。 『うわぁ…僕、小さい』 姿形が見えないのに、何で小さいと解るか。 それは、光の玉になっているから。 『このまま、行動しろって事かな?確かに、人の目に触れたらいけないもんね』 ふんわりと浮く僕は、少し不思議な体験を味わい中。 そして、映し出された世界は“グラーデン”の歴史なのだろう。 色んな草花咲いている。 これ、後から採取しても、問題無いかな? ふわふわと浮きながら、僕は辺りを見回した。 ー…父様、何処だろう? 流石に『息子です』と、言っても、驚かれるので、黙ったまま付いて行こうと、決めた。 『その前に…此所、庭だから屋敷に入りたいんだけど。やっぱり、玄関から入るのが常識だよね。僕、人の家に入るの初めてなんだ』 誰も居ない庭で一人言を呟く。 恥ずかしいけど、僕は人の家に足を運んだ事が無い。 寧ろ…。 人目に映ってはいけないから、入る機会すら無かったんだけど。 まさか、今日体験出来るとは思わずに、ドキドキしている。 父様が生まれた場所が初めての経験になるとは。 ー…新鮮な感じ。 『こいゆうのを何て言うんだっけ?初恋の感じ?ん?』 習っておくんだった。 初めての経験を言葉で表す時は、何と表現したら良いのかを。 母様なら『ドキドキとワクワクが止まらない言葉では上手く言えない感じ』と、表すのだろう。 なら、僕も、そんな感じの気持ちになっているから、こいゆう場合は『ワクワクしていて、心臓が舞い上がりそう』と、表そう。

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