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それにしても凄い屋敷。 僕、自分の屋敷しか知らないから、冥界王族の方々は、こんな感じの家が多いのだろうか。 天界は、もっと華やいでいて。 精霊達が、踊ったりしているから…。 冥界のイメージが、今一、掴めない。 こいゆう時って、脳内住人は何と、例えるのだろう? 『エキゾチックだな』と…。 一歩、下がっていそう。 『彼なら、冥界の風景を例えるのに、ジョークを言うだろうけど…。僕は、少し違う感性を持ったな。父様が生まれた世界って、異なる感じがするな』 まず、闇夜に広がる星空には、綺麗な月が存在する筈なんだけど。僕、来る時間帯間違えたかな? 銀色の月が二つ重なっている姿を見たかったんだけどな。 話に聞いていた噂通りの月を。 ー…実際に、確かめたかったのに。 『冥界に浮かぶ二つの月って、ロマンチックだよね。どんな物語が綴られているんだろう』 月の話で有名なのは、月の女神『ルナ』。 ギリシャ神話に出てくるセレネと、同一視されている事が多い。 けど、トマス・ブルフィンチは他の説を唱えた。『ルナ』は、ローマ期に存在した女神だとされている。 そう、考えると、色んな物語が生まれてきそうで、ワクワクしてきた。 これが終わったら、自分の屋敷で紙に、纏めてみよう。 きっと、良い物語が綴れる様な気がしてきた。 『あ!』 ギリシャにも、夜の神が存在していた筈。 天界で言うなら、月読尊。聖霊界で言うなら、夜の精霊だけど。 どんな感じの神様なんだろう。 そして、冥界にも夜を支配する神は、存在するのだろうか? 僕のイメージでは、闇夜にも似た髪色をした綺麗な女性が出てくるんだけど。果たして、それは当たっているのか不明だから、父様に聞いてみよう。 何故か、月の事を考えていたら、楽しくなってきた。

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