42 / 119
4ー13
それも、仕事を終わらせてだけど。
やるしかない。
僕自身が、望んできたのだから、一ミリたりとも逃す訳にはいかないと、思う。
ちゃんとしたレポートを取って、一冊の本にする。
そうこうしている間に、時間が経つのは早く、僕は、急いで父様の元へ辿り着くべく、屋敷の中へ、足を踏み入れた。
踏み入れたというより、浮いているから、潜ったが早いかな。
辺りを見渡せば、色んな骨董品とか絵が並んでいる。
『古風溢れるな』
棲んでいる人の個性が出るとは、言ったもんだ。
父様の屋敷、流石、冥界王族の名が通っているだけある。
『歴代の方々の自画像とかあると思っていたけど』
意外に、著名人の作品が飾られてあった。
センスが良いのか、はたまた感性の問題だろうか。
僕だったら、明るい光を取り込みたい。
少し、雰囲気出すぎていて、暗い感じ…。
蝋燭とか、やんわり灯火を灯している様な?
よく、こいゆうのって、仕掛けがあるみたいな設定が。
多いよね。
本とかでも使われているシーンあるし。
寧ろ、仕掛けがあって、普通みたいな。
トラップ仕掛けとか…。
『母様が、仕掛けていそうなイメージ』
まぁ、それに、引っ掛かる相手は、大抵、決まっている。
『それにしても…“グラーデン”の屋敷って、広い。僕の家の倍あるよ。これは、父様を見付けるの大変そう』
彼方から、ひょっこりと、顔を出す事は、奇跡に等しい。
偶然を装っても、逢う確率が低い感じがする。
だとすれば、どうすれば良いのかを、僕は、知っていた。二階ヘ、続く階段。
つまり、踊り場を探せば早い訳で、長い廊下をスルスルと、通り抜けていけば良い。
推理的に、正しいと、思う。
廊下に並ぶ騎士の骨董品を、見ながら、踊り場ヘ、通じる場所を、探していた。
ともだちにシェアしよう!