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此方を、そっと見守る感じがした。 僕は、この世界のどんな小さな物より。 遥かな世界を知っている。 何時か…。 貴方にも、見せてあげたい。 僕の夢という名の作品を。 そっとで良いから、触れて欲しい。 貴方に…。 今、オーケストラの曲が、始まろうとしている。 寛大な音が広がっていく。 其処には、小さな白き華が存在した。 息を吹き掛けると、ピクリと、反応を示す。 新たな命の芽吹きが…。 軈て、やって来る。 『こんにちわ』なんて、挨拶をする。 一人の紳士が。 優しく、微笑みを掛けて。 手を差し伸べてくれた。 つい、恥ずかしくって、顔を、そっぽ向けてしまう僕に。 彼は、こう言った。 『大きくなったな』 そう、記憶の中に眠る過去の面影。 冥の華が、ユラユラと、動く。 ー…蒼い炎が、蜻蛉の様に。 其処に入ってくるのは、壮大なインパクトを与えるシーンだろう。 バーンと、豪快な音が、鳴り響く。 皆が湛えるは…。 指揮者(タクト)が。 巧みに操る音。 広がっていく…。 夢に満ちた明るい光が。 どんな世界にも勝らない音楽の世界。 こうして、一つの作品が出来上がっていく姿を見ていると。 僕も、心温まる作品を仕上げたい。 ここに、記そう。 『冥の宵に乱れるは、白き華』 今宵のエチュードに、乾杯。 しゅわしゅわと、泡を立てるゴールド色の炭酸。 ほんのり甘く、少し苦い大人の味に。 僕は、感嘆する。 これに、添えるは、甘酸っぱい果物。 少し、噛れば、口の中に、広がっていく甘みが堪らない。 そして、シャンパンを喉へ流す。 鳴呼、何とも優雅な一日だ。 このハーモニーが、堪らないというのに。 貴方は、味わえない。 だって…。 これは、僕が、音楽を楽しむ為に、用意させた特別な物だから。 タイトルを付けるなら…。 『甘い誘惑の先に』だろう。 何があるか解らないミステリアスな感じに仕上がっている。

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