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第六話:夜の囁きに、貴方が踊るは、破滅の夜行曲(ノクターン)
ー天界・第七天・アラボト・庭園
時は、昔。
一人の皇女が居たそうな。
彼女は、天界、冥界、魔界と、噂されていた。
勿論、聖霊界でも、噂は広がっていたが。
少女が唯一、関わってはいけなかったのが、聖霊界だった。
月が満ちる様に、海も満ちる。
「そんな世界に、誰が好むのだろう…」
ふわりと、浮いた長い白い髪が、月明かりに照らされ。
光るのであった。
私は、この世界の生きる植物が好き。
生命を感じる世界は、とても、生き生きしていて。
知らない間に、進化していっている。
何故?と、問われれば…。
この世界を創ったのが、自分自身だからと言えば、可笑しいだろうか。
神々の進化に加担をしていけないのが、掟。
だけど…。
たまに、迷い子がくる。
何処か、虚ろな瞳をした子。
その時に、吹く風は、生温い感じがして嫌だ。
今宵も、また。
「何故…魔族の方が、此処に?」
「それを、私に問うのは、可笑しくないか。ソナタも、匂いが」
「多少なりとしていても…可笑しくはないですわ。だって、私の父親は魔族ですから。迷える羔、魔界王族が一人『●●●』のご息子“ルィーアイン・シュタイン・アンバー・カイン・ピンク・ゲート卿。今は、亡き『テリサイ』の血筋を引きし大叔父の第五子“リリス”の子…」
「そいゆうソナタは、天界王族『リオ』の第一子“レイナ・セィラ・サファリア・リオ”皇女。大昔に、天界を創造した絶対神の血を引いているとか」
辺りに、黒い気を漂わせた男性は、仏頂面で吐いた。
ー…これが。
彼との最初の出逢いになる。
何時しか、其処が、歯車を狂わす旋律を奏でる合図だとは、知らずに、罪人は、足を踏み入れる。
それを…。
きっと。
「伯父様は、許さないわね」
生暖かな風が、庭園に咲いている花々を。
舐める様に、撫で上げていった。
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