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5ー5
“樹”が言う事に、少々、疑問を感じていたが、リュートリアの表情を見れば、解る。
大死神の情報は、取り入れておかないと、直に、仕事をする時に、大変な目に合う。何処かで、馬が合わなかった場合の土産として、使わせてもらおうと、考えた。
仕事は、お互いの利益を、考えなければ、上手くいかない。
“フォルテッシモ”が、天界の仕事を担う様に。
“グラーデン”は、死神界の仕事を担うくらいの功績を。
ー…立てなければいけない。
元老連中が。
文句を言わずに、任せられる立場になれば、二面性ある大死神とも、上手く、パートナーとして、やっていけるかも知れないと、俺は、考えた訳だが。
「その姫君は、何故…大死神に、詳しいのかな?」
「彼方此方に…兄が居るらしい。俺にすら、隠している事が多々ある。まぁ、大死神に関しては、人一倍、詳しい」
冷や汗垂らしながら、聞いてくる辺りが最早、哀れになってきた。
しかし、掟は存在しており、お互いの領域の問題に、私情を挟んでしまえば、死活問題になる。
そう…。
“樹”に、習った。
「アズイの優しい微笑みを見るのは、良いけど。何処か…気色悪さを感じるのは、何故だろう…」
鳴呼、悪かったな。
思い出して話すと、何故か、移ってしまうんだ。
穏やかな気持ちにさせる者と。
契りを交わすせいか、解らないけど、矢鱈と、うっすらと、光景が浮かんでくる。
昼下がりの屋敷のが中で…。
一人の青年が、穏やかな表情で、本を読んでいる姿が。
あれは、どう、見ても、彼女の雰囲気を、纏いつつ、ちょっと、抜けた感じの子だろう。
何時の時代の子なのか、気になる所だ。
ああいう、御子だったら、素直で、純粋な一面を、取り持っているに違いない。
『ほんわか』という言葉が似合う子だ。
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