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【シエティーside】 久しぶりに、娘の、楽しそうな表情を見た。 以前、天界で、魔族を、見たと、聞いて、不安だったが。どうやら、大丈夫な様子。 ギリセには、内緒で。 何かを、作らせようとしているのは良いけど、ウリエルが、感付かなければ良いわね。 ー…レイナ。 貴女は、気付いて無いかも知れないけど、その、甘い雰囲気は、誰か、良い相手に、巡り逢えたのかしら。 だとすれば、貴女の伯父にあたる“彼”との結婚は、破棄しなければいけないわね。 私は、静かに開いた、扉の隙間から、娘を、見ていた。 「其処に、居るのは…シエティーお母様ですか?」 鏡を、見つめていた彼女が、不意に、声を出した。 「おはよう、レイナ。今日は、早起きなのね。何か、良い事でも、あったのかしら?」 「ふふっ、今日は、天気も宜しいので、庭園で、ティータイムにしようかと。伯父様も、居ないですし」 「許婚を、放ったらかしに…仕事ですものね。義理兄様は…」 「其処が…ご酸味ですわ」 あどけなく、微笑む姿は、少女特有。 こんな風に…。 優しく、笑っている顔を見る事は、珍しいかも知れない。 「それより…」 「ん?」 上目遣いの瞳が、此方を見つめた。 やっぱり…。 雰囲気が、ピンクですわ。 「素敵な…殿方と、出逢ったのかしら?」 「解ります?」 「貴女が、甘い雰囲気を、纏った姿なんて、義理兄様の時には、無かったではありませんか…」 「シエティーお母様ったら。ふふっ、でも、姿は、見ていませんの。ただ、気配だけを感じて、とても、素敵な紳士って事だけは解りました。私、初めて…彼と、話してみたいなと、思いましたわ」 レイナに、そんな風に、思わせる相手とは、どんな人なのかが、気になった。 ギリセの兄、私からしたら義理兄が、どう、反応を、示すのか、解らないけど。多分、許したりはしないのだろう。

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