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何たって“貪欲の神”と、言われているくらいですもの。 普段は、裏の顔を、隠しているみたいだが、本当は、嫉妬深く、爪が長いお方だと、心得ているからこそ、娘の許婚として、紹介された時、正直、困った。 それでも、彼は、レイナの前では、優しい表情を、浮かべるから。 今は。 ー…見守っているしかない。 「そう。気配だけを、感じたのね」 「だけど、お顔を、拝見したら…きっと、素敵な殿方なのでしょうね。今度…逢えたら、一曲、お相手、願おうかしら…」 楽しそうに、話をする彼女。 これは、婚約破棄に、持っていくチャンスかも知れない。 そう考えると、ギリセに、相談するしかないわね。 『君も、知ってのとおり…私は、娘に、天界を担わす役目を与えている。それは、上の兄二人には、出来ない事だ。レイナは、特別な生まれ方をしているのは、承知だね』 ー…えぇっ。 魔界帝国、五大王族の最高峰に立つ『ブルブェニ』の主、セリオン。 そして、天界王族の最高峰に立っている『リオ』。私の夫にあたる神王ギリセ。 後一人…。 この世で、儚げで、ミステリアスな雰囲気に包まれた唯一の女性。 冥界王族最高峰に立つ『フォルテッシモ』の主である冥王アイリス。 そんな三人の力を、持って、生まれたのが“レイナ”であった。 だけど、実際は、どうなのかは、解らないけれど。 髪色は…。 ー…二番目の兄と、同じなのよね。 本人曰く『ギオン兄様と、同じですわ。私のは、隔世遺伝ですけど』と、嬉しそうに言っていたけど、その後に『本来なら…』と、口慎んだのが、気になった。 「きっと、逢えますわ。だって、貴女は、私の娘ですもの」 「有り難う御座います。シエティーお母様。やっぱり、母様が選んだ相手だけあります。ですから、今日の事は…」 ふんわりと、微笑んでいたレイナが、真剣な表情になって、私の顔に、小さな手を添えた。 すると…。 急に、視界が歪んでいった。

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