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ー冥界・グラーデン邸・アズイの寝室 窓の風が、レースカーテンを、掠めていく。 穏やかな時間が流れる中、一際、煌めく、何かが、寝ている男性へと、近付いた。 少し。 小さめな光の玉は、彼の横に、浮いて、暫し、じっと、見つめた。 この方が…。 僕の父親になる存在。 冥界では、珍しい御霊。 『そっと…触れて、ご覧なさい…』 言われた通り、触れてみた。 何とも、面白い感覚だ。 小さな光の玉は、はっと、させれた。 ー…不思議。温かい。 初めて、覚えた感覚に、小さな光の玉は、形を、少し、変えた。 しかしながら、熟睡しているのか、目覚める事をしない。安らかな、寝息だけが、耳に、入ってくる。 ー…初めまして。 未来の父様。 今から、少しだけ、僕と一緒に、時の流れの旅を致しませんか。 『よく…出来ました。●●●…』 こんなにも、穏やかな気持ちになるのは、幾年ぶりだろう。 柔らかな印象の持ち主である、女性は、将来の母親。 此処へ、案内してくれた。 『“グラーデン”の血筋を、絶やす訳にもいかないもの。古から、築き上げてきた王族の血を、此処で、絶やすのは、愚かだと思っています。でしたら…契りを、交わすとして…。一番必要なのは、御子。天界では、御霊と云い、記憶と共に生きていく者を…光魂(こうこん)と、表します。嘗ての神は、行っていたそうです。自分の魂を、少し与えるだけで…魅せてくれる夢が、違うそうです…。“アズイ・G・フィニア”卿。どうぞ、昇りつめて下さいませ。冥界政府副官吏長という、立場まで。それまで、その子と…楽しい夢を。名を“靉流・G・フィニア”と、申します。未来の息子です…。私から、ささやかな贈り物です…』 そう、優しく…。 囁いた声は、闇の中へと、消えて行った。

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