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ー天界・第七天・アラボト・庭園 辺りに広がる花々の匂いが、鼻から抜けていく。 白いテーブルの上には、予定通りのティーセットが、用意されていた。 「グラーモティア・メッセ・ホリーント」 何時しか、出逢うであろう殿方の御子に。 「グリース・フィアス・セレモンテ」 少女は、何かを口ずさみながら、足をぶらぶらさせていた。 今日の紅茶は、正解ね。 口に広がるオレンジの香りが、堪らない。 「グリューテェス・アートゥ・ハリオス」 次々と、出てくる言葉に、庭園に居る精霊達は、驚いた。 彼女が…。 口ずさんでいるのは、古代冥界語だからだ。 今では、馴染みある者も、少なくなってきていると、精霊の王“オベロン”から、習った。何故、少女が、冥界の言葉を知っているのかは、不思議な点が沢山あった。 耳にしていた精霊達は、そっと、覗いてみる。 「とても、安らぐ感じが堪らないですわ。こうして、一人で、ティータイムとか、久しぶり」 嬉しそうに、呟きながら、ティーカップに、口を付けた。 太陽の光が照らす中、微風が、優しく、吹き付けていく。 それは、一枚の絵になるんじゃないかと思うくらいに、美しい光景であった。 こんな時間が、何時までも、続けば、良いのに。 そう、させてくれないのは…。 運命の悪戯か。 それとも、宿命なのか。 微かに、運び込まれてくる魔力に、レイナは、気付いた。 「…折角のティータイムを」 今回は、迷い子とはいかないだろう。 此処へ…。 足を、運び込む理由。 ー…私でしょうか。 やはり、頼りになるのは、専属が作ってくれた髪飾り。 それ以上の、距離には、近付けさせない。 「あまり、力を使うのは、好ましくないのですが…この場合は、仕方ないという事で。一度目なら、見逃していたのに。魔界帝国の王族方は、暇を持て余している様には、見えないのですが、彼だけですか?兄様」 怒りが籠った声音で、呟いた。

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