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「天界第九書…神の恩恵に、預かり、魔族の侵入を、断ります…」 指を鳴らすと、用意されていたテーブルが消えた。 彼女は、今から来るであろう客人の方を、真っ直ぐと、見つめ、待っていた。 あまり、時間と、体力を、使いたくないのが本音。 だって…。 使うと、彼方此方に、影響が出ると、元老連中が、ほざくんですもの。 『姫、お力は、あまり、使わない様に』 宥める様にして、言う老人の姿が、頭に、浮かぶ。 昔に、使って、一時期、聖霊界が、傾いてしまった事がある。それは、幼子だったから、許されたものの。流石に、この年齢になってからは、許されないのを、レイナは、知っていた。 「ちょっと、二度目の訪問とか、聞いていませんよ。ルィーアイン・シュタイン卿…」 忘れていた訳ではないが、彼女の頭には、魔族の名前リストが入っている。 誰の配下か、既に、チェック済み。 よって、彼は、招かざられぬ客。 父親の配下なら、その後に来た貴族の方だろう。 何とも、紳士的な対応が、レイナの心を、擽ったのは、言うまでもない。 もう一度、逢うなら、彼が良かったと、心の中で、思った。 「偶然ですね、レイナ皇女。あの後、調べさせてもらいましたよ。魔王“セリオン”王の、愛娘とは、驚いた」 「あら…調べたんですか?」 態々、ご丁寧に、調べてくれるとは。 やっぱり、大伯父の血筋なだけある。 「容姿の割には、力は、計り知れないと、父が申していました」 「…」 「ご存知でしょう?私の父を」 「頭に、蝿を、飛ばした方かしら…」 一瞬、忘れていた事が、甦ってくる。 彼の父親って…。 フラッシュバックの様に、甦ってきた記憶の中に、確かに居た。 『はぁい、レイナ。お久しぶりぃ…。相変わらず、セリオンに、そっくりだね…』 『そいゆう貴方は、何時しかの“息子”を、二で足したようなチャラ男ですわね』 カモン。 私の、黒歴史。 彼女は、思い出しながら、相手の行動を、伺っていた。

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