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5ー17
ー魔界・ブルブェニ城・玉座
「実に、楽しそうだな。アルザリ」
魔界では、あまりお目に掛かれない雰囲気を纏った男性に、漆黒の長い髪をした彼は、口を開いた。
此処は、魔界。
罪を犯した者達が、堕ちてくる場所。
特に、男性が管轄にしているのは、第二圏『愛欲を犯した者』が、堕ちてくる場所で、魔界王族の最高峰“ブルブェニ”の所有している地。
そんな彼には、左腕である男性が居る。ふんわりとした雰囲気を纏っている目の前の相手なのだが、どうも、何か、アルザリを刺激した感じがしてならない男性は、疑問に思った。
「セリデュク様には、そいゆう風に、見えますか?」
「あぁ」
紳士的なスマイルは、相変わらずだが、雰囲気が柔らかく感じるのは、彼を刺激した誰かが居るという事になる。
「この前、久しぶりに、天界へと、足を運んで来ました。相変わらず、花々は、綺麗に咲き乱れ、空気も澄んでいました。邪魔なのは…セリデュク様の叔父の気だけでした…」
「珍しいな。何故か、ルィーアイン・シュタインも、天界へ、行ったと、父から聞いたが」
「あぁ、彼の気なら、微かに、残っていましたが…。私が…気にするレベルでは無かったので、戻って来た時に、聞かなかったです…」
「天界といえば、妹が居るんだが…これが、少し、破天荒で、周りを驚かせる事をする。今度の、舞踏会の時に…逢えたら、是非、ダンスの相手を…アルザリに、お願いしたいものだ」
そういや、セリオン様とギリセ王の間には、もう一人居ましたね。
セリデュクの言葉に、アルザリは、思い出したかの様に、後一人の御子の存在を浮かべた。
話に聞けば、冥王の息子である『ギオン』譲りの髪色をしているという。何でも、七大天使を、専属にした凄腕な皇女様だとか、じゃないとか、噂になっていた。
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