70 / 119

5ー26

時空の中で、探しているのは。 嘗て、絶対神だった姿。 それは、過去から現代に繋がる為の糸にしか、過ぎない。 私が、彼と逢ったのは、運命なのかも知れない。 ー…本当、不運ですこと。 拗ねながら、吐かれる科白。 今頃、発動させるのは、どうかと思うが。 彼女は、常に、周りを見ている。 ー…影響、出てしまいますね。 鳴呼、今度ばかりは、傾くだけでは、済まないだろう。 何たって、貴女の力は、聖霊界に、大きな影響を及ぼす。 大地がひっくり返り、水が溢れ出す。 何時しか見た夢の中の様だ。 ー…それは、先の事でしょう。 だが、起きうる事には、変わりはない。 運命の悪戯か、はたまた、必然なのかは、開いてみないと解らない。 ー…えぇ、開いてみたわ。 綴られていたのは、悲しい惨劇の始まりの一ページ。 ー…その、一ページにすら、綴られないのが、彼。 “リリス”の第五子、ルィーアイン・シュタイン。 ー…破滅を、運んできた者。 もうすぐで、鳴り始める。 ー…夜の躍りを合図する鐘が。 暫しの間、眠りに就くとしょう。 その時が来るまで…。 ー…破滅の夜行曲(ノクターン)が、弾かれるまで。 後、十日。 開演するまでは、誰も、目に触れてはいけない。 彼女が、深い眠りに就くまで。 ひらり…。 ひらりと、白き蝶が舞う中。 起きたのは、時の歪みに、彼が、撃たれた瞬間だった。 天界の風が…。 ざわざわと、音を立てる。 静寂な時間が、一気に、騒がしい日となったのは言うまでもない。 レイナ・セィラ・サファリア・リオ。 この時、僅か十二にして、聖霊界に、歪みを沢山作った。 それを知ったのは、次の日であった…。 空を覆う、歪みが、彼方此方に、浮いていたと、報告を受けたのであった。 これが、彼女が、聖霊界に、二度と、携わらない理由。

ともだちにシェアしよう!