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第七話:イケイケの時に見た悪夢を思い返す。(オベロンside)
ー聖霊界・光の川の森
晴天な空から溢れかえる太陽の光が、木々の隙間を通り、照らしていく。
これが、毎日続くのが、聖霊界の特徴と言えば良いのか。何時の日だったか、一時期、荒れた事があった。
原因は、天界に居る皇女が…。
関係していた。
神王『ギリセ』と、魔王『セリオン』の愛娘『レイナ』。
『ですから、何故…貴方が、付いてくるのですか!』
『僕が付いてきてはいけないという理由は、何処にも無いと思うけど?それに、聖霊界に、興味がある…』
苛っとした、少女の声音が辺りに響き渡る。
一緒に居た少年は、彼女の後ろを歩きながら、周りを見ていた。
長い白い髪が、宙を舞う。
『有り得ませんわ。マルマと、一緒に、聖霊界を、探索なんて』
『僕的には、レイナと、探索していても問題無いと思うよ…』
『大アリですわ!私、母様に内緒で訪れていますの。もし、これが、耳に入ったら、怒られてしまいますわ』
『そうだね。君は、天界の者でありながら、魔族の血を引いている姫君だもんね。でも、僕は、魔族の血を引いているけど、聖霊界に、足を踏み入れても大丈夫な訳…』
噂は兼々と、聞いていたが。
ー…そうか、彼女が。
天界の者でありながら、魔族の血を引いている皇女。
“レイナ・セィラ・サファリア・リオ”。
聖霊界には、一切、携わってはいけない子。
「儂は、静かに、見守っているつもりだったんだかなぁ」
まだ、あの時は…。
若かった。
精霊の王としての実績は、長くても、心は、若々しく、テターニャを、口説いていた。
夫婦だとはいえ、愛の言葉は、常に忘れないのが、儂のモットー。そんな科白に、彼女もまた、酔いしれていた。
あの頃が、凄く、懐かしく思えるのも、年齢を重ねた証拠だろう。
テターニャの幸せそうな顔が、浮かぶ。
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