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6ー2
耳に入ってこないのが、不思議ではあるが、彼女の血を引いといた場合は、恐怖の対象二になる。
ー…いいえ、オベロン様。正確的には、三です。
「そうだったかな?」
思わず、首を傾げてしまう。
ー…“樹”皇女には、遥か昔に、一人、御子が存在します。
草の精霊が、囁く。
今の御子の前に、もう一人居たかな?
主は、解る。
見た目も、性格的にも、母親譲りという部分の父親譲りが、若干、目立つ。
ー…ま、本人に言ったら、怒られるけど。
『それ、私に問いますの?』
いかん…。
幻聴が、聞こえてくる。
ー…でも、今の御子は、オベロン様が、心配する事はありません。
儂が、不安そうな表情をしていたせいだろう。
草の精霊が、優しく、答えてくれた。
「そう言うが…。二の舞は、御免だ。儂も、若かった故、聖霊界が、ああいう風になってしまうのは…心痛い。どいゆう子なのかを、見てみないと、精霊の王としての立場が危うい」
ー…まぁ、夜の精霊と、立場逆転。
「笑い事じゃないよ」
ー…ふふふっ。
否、部下と、立場逆転なんて、恥じすぎる。
どんだけ、部下のポジションが、役得なのかを、今一、見直す必要があると思う。
昔みたいに、うたた寝だけはしない様にしないと、悪夢が、再び、甦ってきそうだ。
いくら、魔族が侵入したかといい、聖霊界に、影響を及ぼすのは解ってた筈だ。
彼女自身の見えない理の中に、存在しているのは、儂も少なからず解る。
だからこそ、御子を、見てみたいと思った。
儂を、題材にして書いたという小説。
是非に、拝ましてもらおうなんて、イケイケの時代にはなかった経験。
今となっては『真夏の夜の夢』に、感謝すべきなのかも知れない。
アレが無ければ、儂の名は、世に、知れ渡っていないだろう。
そう、思う、イケイケな自分の姿が、水辺に浮かびながら消えていった。
悪夢の日なんか、思い返している場合じゃなかったな。
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