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第九話:芳香な香りのオレンジティー

ー天界・レイ・光皇殿 華やいだ雰囲気が、漂う空間に、皆が、賑やかな会話をしている。 今宵は、年に、何回か、行われる社交パーティー。煌びやかなドレスに、身を包む女性達は、瞳を輝かせながら、ある場所を見つめていた。 オーケストラの音色に…。 合わせながら、踊る一組の男女。 神々は、よく知っている人物だ。 一人は、天界を跨ぐ皇女。 もう一人は、冥界王族の皇子とでも言っていた方が、良いのか、資料には、記されていたかったので。 素性は、秘密なのだろう。 しかしながら、踊っている二人を見ると…。 二人の世界が…。 広がっている気がする。 「甘い雰囲気というより、初々しい感じが、広がって来ますわ」 周りに、漂わす雰囲気は…。 恋人という感じじゃなく、初めて、出逢った恋愛初心者の様な感じだ。 、当人達に、言ったら、怒られるので、女性は、口にしなかった。 ワルツなんて…。 久しぶりですわ。 「アズイの柔らかな雰囲気、久々…」 「こうして、踊れるのも、社交パーティーを、開いてくれた光皇帝の者に、感謝しなければいけないな」 「えぇ、甥達に、感謝しなければいけませんね…」 踊りながら、そう、話す樹と、アズイだった。 この、社交パーティーを、開いたのは、甥っ子達だ。それを、知っている血族者からすれば、冥界王族との接点を、繋げたいのが本音。 だとすれば、今回の結婚話は、両家の安泰を兼ねている。 樹が、冥界王族『グラーデン』の血筋の者と、契りを交わすと知った時、誰一人として、文句を言わなかったらしい。 寧ろ…。 賛成する声が、多かった。 『樹様が、決めた事なら』 『しかし…冥界王族『グラーデン』とは、どいゆう一族なのですか?資料には『極秘』と、書かれてありましたが…』 『それは、何れ、解りますわ』 古の血を引いた冥界王族『グラーデン』。 契りを交わす相手には、申し分無いと、あの時に、理解した。

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