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8ー1
なら、私は。
応えるまで。
この、男が、何を見出だすのかは解らない。
しかしながら、少なからず、あの頃の判断は、間違っていないと、言い聞かせたい。
長い白い髪が、宙を舞う…。
この瞬間を、味わうのは、何年ぶりだろうか。
こいゆう時間を、大切に出来る事は、非常に、貴重だ、冥界王族『グラーデン』の本は…』
彼女は、叔母に内緒で『グラーデン』の事を、調べた。
勿論、今後、生まれてくる御子の為に、必要なので、資料にして、残しておこうと、考えた。
新しい形じゃなく、古のやり方でやれば、生まれてくる御子も解りやすいだろう。
『これは、知っていますわ。『グラーデン』が、魔界王族の一つ『フリア』と、どう…繋がっているのかが、気になりますわ。あぁ、お願いしたら…怒られるプラス、代価が、付きますわね…』
事を、思いながら、樹は、本を読んでいた。
『やっぱり…自分で、調べた方が、良さそうですわ…』
この、手元にある資料を見て、ざっと、千冊を越える。
百年費やすかも知れないけど、譲步して、十年ちょい。
それまでに、やる事と言えば…。
『光皇城の白鷺の庭の空間を歪める事かしら…』
そんな事を、踊りながら、考えている彼女は、思わず、笑ってしまった。
何故、まだ、先の話なのに、考えているのだろうか。
「君が、微笑うなんて、珍しい…」
「ごめんなさい。つい」
まさか『貴方との間に、生まれてくる子の事を、考えていました』とは、言えない。
だって…。
当に、蒔いた種は、芽吹くのも、時間の問題。
「何か、面白い事でも、思い出したか?」
「少し…。昔の事を」
「昔か…」
「えぇ、昔の思い出が、ふっと、甦りまして…」
初めて…。
貴方と、出逢った事を。
あの時は、久しぶりに、聖霊界の外側へ、足を運びました。
小さな小さな命を、弔う為に。
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