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8ー2
『何故に、白き魂を、育てようとする』
それを、答えて、貴方は、納得出来るでしょうか。
天界にはあって、魔界には、存在しない命。
尊き命は、貴重。
そう、私は、思っています。
『それ、私に聞いているのですか?』
『他に、誰が居る!アルザリにも、言われたのだろう』
異なる瞳を、細め、深い溜め息を吐いた。
言われたとして…。
それが、何だと言うのだろう。
小さな命を、魔界で、育ててはいけないという掟は、存在しただろうか。
存在するなら…。
天界の秘密の園へと、持っていく。
『直ちに、その、白き魂を、処分して来なさい』
『叔父様…何時か、その、言葉を後悔しますわ…』
命を、粗末に扱う貴方は、ろくな死に方をしない。
ー…穢れた魂を。
白き炎に、焼かれ。
身もよだれる、姿は。
血肉も爛れるだろう。
“アーカス・フィニア・リアトリス”…。
炎の番人。
漂わす、芳香は、オレンジティーの香り。
何時か、見た、夢の続きに、記す。
“月影帝 樹”。
ー…あの人には、告げない夢を。
貴方に、送りたいと、思います。
愛する靉流に。
『グラーデンの名に、相応しく』
爽やかなオレンジティーの匂いを、漂わせながら。
踊ると、貴方は、何時も見せない笑みを、浮かべる…。
『樹、契りを交わすなら、天界式じゃなく、冥界式は、どうだ?俺の家系にも伝わるジンクスがある』
『ふふっ…』
だって、それ、冥界王族『グラーデン』の、習わしじゃないですか。
思わず、私は、笑ってしまう。
それ、大昔に、兄様が、試そうとして、失敗した冥界式の契り。
私だっら、もっと、強く。
強烈な力を、使います。
本当…。
ー…アズイは。
笑わせてくれます。
でも、そこが、良い所。
老婆心が、擽られる訳じゃないけど。
アズイを…。
夫として、持つ事は、良い事だ。
『可笑しいか?』
『冥界式だと、私は、タキシードを、着けないといけませんね…』
『ソナタが、俺に、敵うとでも?』
いいえ。
無理で、御座いましょう。
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