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時を、遡ると、随分、懐かしい感覚に、襲われる。
瞳を閉じて、見える世界は。
嘗て、繁栄していた一族の始まりが、開かれようとしていた。
甘い芳香と共に、運ばれてくる。
爽やかな紅茶の香り。
本当に、貴方のイメージ、そのものだと思います。
何時か、見た、夢の物語の様に…。
ー…私は、静かに、眠る。
この、世界に、色んな光が、運ばれます様に。
“グラ-デン”の血を、濃いく、引き継いだ息子に、愛ある詩を、導いてくれます様。
願います。
『お嬢様…』
ー…冥界王族の掟に、則り。
開かさせて頂きます。
過去に、置いてきた『暁』の御子が、引き継ぐ、古の時空(とき)の中。
今も、呼吸しているであろう。
ー…彼の人。
巡り逢った瞬間、きっと、気付くでしょう。
運命とは…。
其処に、眠る宝箱。
ー…リィーディア・トリス・フルフェリア。
古に、愛されし、男性が。
古代冥界語を、口にした時。
鳴り始めるのは、真夏の夢に、眠る小さな魂の存在。
優しく、触れてみて下さい。
“靉流”は、父様みたく、立派な王族になる事を、約束致します。
だから…。
母様。
どうか、お力を、おかし下さい。
小さな…。
小さな。
ー…御子の、明るい声。
そっと、見守りながら、今宵も、オレンジーティーを嗜む。
口に広がる仄かな苦味が、現実世界へと、引っ張る。
あと少し、遅ければ、冥の華も、また。
危うくなるかも知れない。
ー…行きましょうか。
『御意…』
後は、アズイの父親に、任せていれば、何の問題もない。
靉流が、見る世界は、歴史に、必要な物ばかりだから大丈夫。
そう、囁きたいけど…。
ー…今は“グラ-デン”の血が、応えるままに。
次、逢う時は、少し、大人になった姿かしら。
楽しみにしているわ…。
私の愛する息子。
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