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【レイナside】
それにしても、彼は、叔母の色気にやられなかったなんて、世の中、不思議な事もあるわ。
世の男性は、叔母の気高さと、美しさと、色香で、メロメロにされて、骨抜きなのに。
『おぉっ…何と美しい淑女。是非、私と一緒に、共に過ごしましょう…』
なんて、臭い台詞を吐く、紳士が居ましたわよ。
私、一瞬、吐き気を覚えました。
あれだけ、社交パーティーを開いていて、寄ってくる男は、何れも、叔母の好みではない。
マシな顔をした紳士が居たとしても、ズタズタに振られて、パンツ一丁にされて、城の外に、放り投げられるだけ。
諦めないのはドMなんじゃないかと思ったわ。
ー…叔母様に、踏まれて、恍惚な顔をしているのは。
如何なるモノかと思いますわ。いくら、魔族が、嗜好的に、うっとりとした表情で、貶すからと言って、自ら懇願するのは、興醒めします。
『気高く、美しい叔母様。フリアならではの術及び、淑女さは、血筋ならではだと思いますわ。色気が、だだ漏れなのは流石です…』
それがあるから。
冥界王族『グラーデン』との良縁が回ってきた。
良い関係を作るには、悪い話ではない。
私が、彼の息子との間に、御子を作ったとしても、愛らしい顔をしているのは、間違いないから仕方が無いですわ。
瞳…。
何時か、映せなくなるのでしょう。
なら、私は、その日が来るまで、静かに見守るとします。
何故か、彼の病に、惹かれてしまう。
多分、生まれてくる御子の影響。
ー…アズイ。
その瞳に映されるのは、やはり、我が子かも知れない。
小さな小さな魂が、微笑ましく笑っている姿は、大切な想い出。
聖霊に好かれし、冥界王族の皇子様。
“グラーデン”の血が叫ぶ。
ー…我が血を引きし。
『暁の御子』。
目覚めた時、君は、何を、夢見る?
それは、それは、不思議な物語だと思う。
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