93 / 106

10-2

【レイナside】 それにしても、彼は、叔母の色気にやられなかったなんて、世の中、不思議な事もあるわ。 世の男性は、叔母の気高さと、美しさと、色香で、メロメロにされて、骨抜きなのに。 『おぉっ…何と美しい淑女。是非、私と一緒に、共に過ごしましょう…』 なんて、臭い台詞を吐く、紳士が居ましたわよ。 私、一瞬、吐き気を覚えました。 あれだけ、社交パーティーを開いていて、寄ってくる男は、何れも、叔母の好みではない。 マシな顔をした紳士が居たとしても、ズタズタに振られて、パンツ一丁にされて、城の外に、放り投げられるだけ。 諦めないのはドMなんじゃないかと思ったわ。 ー…叔母様に、踏まれて、恍惚な顔をしているのは。 如何なるモノかと思いますわ。いくら、魔族が、嗜好的に、うっとりとした表情で、貶すからと言って、自ら懇願するのは、興醒めします。 『気高く、美しい叔母様。フリアならではの術及び、淑女さは、血筋ならではだと思いますわ。色気が、だだ漏れなのは流石です…』 それがあるから。 冥界王族『グラーデン』との良縁が回ってきた。 良い関係を作るには、悪い話ではない。 私が、彼の息子との間に、御子を作ったとしても、愛らしい顔をしているのは、間違いないから仕方が無いですわ。 瞳…。 何時か、映せなくなるのでしょう。 なら、私は、その日が来るまで、静かに見守るとします。 何故か、彼の病に、惹かれてしまう。 多分、生まれてくる御子の影響。 ー…アズイ。 その瞳に映されるのは、やはり、我が子かも知れない。 小さな小さな魂が、微笑ましく笑っている姿は、大切な想い出。 聖霊に好かれし、冥界王族の皇子様。 “グラーデン”の血が叫ぶ。 ー…我が血を引きし。 『暁の御子』。 目覚めた時、君は、何を、夢見る? それは、それは、不思議な物語だと思う。

ともだちにシェアしよう!