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あぁ、愛らしい皇子。 浮かべている姿が、目に浮かびます。 彼女は、それを、楽しみにしているのです。 どうぞ…。 春の風に吹かれながら、オペラを、お楽しみ下さい。 ー…この、一時が、貴方の幸せに繋がるのなら。 我ら精霊は、喜んで、歌いましょう。 『で、今度の、御子は?』 『とても、清らかな子…』 『あの、レイナ様の。精霊の道が、通れると良いわね』 『管理しているのは、光王族の頂点『光皇帝』の皇女様…光皇帝 静欄王(こうおうてい せいら)。聖霊界に通じる道を、担当している厳しいお方。だけど、静かな方。上の兄姉妹達とは、また、違う雰囲気を、持っているわ。故に、簡単に精霊の道を通すかは、彼女次第…』 小さな精霊達のお話。 噂の、皇子様の話題で、聖霊界は、盛り上がっている。 聖霊王『オベロン』に、小説を、見せたいと、彼の母親からのお願いだった。 精霊達は、歌や踊りも好きだが、物語も好きだ。特に、童話とかは、よく、読んでいる。 有名な物語で言えば、ピータパンとか、白雪姫など。 勿論、我が主であるオベロンの物語『シェークスピア』が書いた『真夏の夜の夢』も、読んだ。 複雑に、絡み合う人間性の心境を描いた物語。 ー…精霊は、夢を見せるのも得意だが。 悪戯もしてしまう、可愛い小動物だ。 だが、夜の精霊に関しては、オベロンも、ポジションを取られそうで、危うい。 何故か、お茶目さが受けている。 流石に…。 オベロンの妻、ティターニャですら、お咎めを与えなかった。 あの、二人は、例えるなら。 夏は…。 オベロン。 冬は…。 ティターニャと、言った感じだろう。 天界を跨ぐ姫が…。 嬉しそうに、話しそうなネタだと思った。 可愛い我が子に、聞かせているシーンが、浮かびそうだ。

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