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ー天界・レイ・光皇城・炎闇の部屋 黒い髪を、優雅に靡やかす女性が、難しい顔をしていた。 椅子に座りながら、来ている人物を、睨む。 「で、私に、精霊の道を、開けろと、言いたいの?」 「はは、大叔母様の、命令でして…。無理を承知で、お願いしに来ました…」 汗を、垂らしながら、彼は、彼女を見た。 「当の本人は、顔を出さないのに?精霊の道を開けろという命令は、どうかなと思うわ。いくら、湫の許婚だとしても、紹介もないのよ」 「それに、関しましては、大叔母様から、説明があるかと思われます…」 「急に、開けられないのも解るでしょう。聖霊界へ続く道は、丁重に扱わなければいけない。尚更、自然保護管轄区域…。聖霊王“オベロン”との契約があるのを、貴方も、知っているでしょう」 やはり、一筋縄ではいかないのを痛感する男性。 甥っ子であろうと、厳しい。 何故か、玉座では話さず、夫の執務室で、話すあたりが、侮れない叔母。 「解っています。今や、精霊は、貴重な保護しなければいけない。自然破壊なんて、ご法度ですし。静欄叔母様が、凄く、手を付けているのも…理解しています。ですけど、今回ばかりは、折れてくれませんか?どうしても、彼に、湫ちゃんの許婚に、聖霊界へと、行ってもらいたいのです…」 鳴呼、流石、兄様の子。 私が…。 彼女の事で、逆らえないのを知っているのかしら? 「まぁ、別に、開けないとは言っていないわ。私が、湫の許婚を、認めたら、精霊の道を開けてあげる」 くすりっと、微笑む彼女は、光王族の頂点に立つ『光皇帝』の皇女である。 名を『光皇帝 静欄(こうおうてい せいら)』。精霊の道を、管轄にしている結奈と、その弟、湫の叔母である。 見た目は、美しく、若干、冷たい雰囲気を漂わせてはいるが、凄く、責任感が強い部分がある女性。

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