103 / 106

10-12

何て、考えていたら、下界で、流行っているカラオケをしたくなったわ。 姪っ子は、上手かったわね。私は、何度かしか聞いてないけど、兄さんは、よく、聞いていた。 思い出に残るのは、天龍帝の屋敷にある、桜の木の下。 日陰に当たりながら、眩しい光を眺める彼女は、口ずさんでいた。 ー…懐かしいわね。 最早、湫の許婚を、通したくなるわ。 だけど、条件は、条件。 私も、精霊の道を、任せられている以上、クリアーしてもらわないと、困るのよ。 冥界王族の血を引いているなら、それなりのマナーがある筈。光の世界に、顔出ししたのが、一度というのは、惜しいわね。 湫が、惹かれた相手、私は、瞳にいれたくなった。 結奈の場合は、母親公認だから、諦めるしかない。 二次元で、呼吸しているらしいから…。 一心同体になりたいくらい、オタク力が、湧くとも説明を、受けている。 『参考がてらに、今度、四男行かせるわ』なんて、言えない。 『愛らしい顔をしているそうよ。だから、静欄、確認してみてね』 『ちょっ、ソナタは…』 『ごめん…ね。霰月様に、呼ばれちゃった』 唐突、過ぎるんだ。 結奈と、湫の母親は。 あれで…。 昂夜兄様の娘だから。 侮れない。 あの、問題児に御子が出来た事に、驚いた。 『うふふっ、静欄は、頭固いね』 『お前だけには、言われたくないだろうな。そこ、仕事サボろうとするなっ!』 碧総が、素を出していたのを思い出すわ。 私と、一つしか変わらない弟。 そんな彼が、本性を出すとすれば、昂夜兄様か、煌月兄様だけ。 後は…。 猫を被っているから、バレにくい。 世渡り上手と言えば良いのか。 とりあえず、人前では、笑顔を保っている。 これが、迫真過ぎるから凄いのよ。 私も、見習いたいわ。 碧総の迫真な演技を。

ともだちにシェアしよう!