104 / 119
10-13
そっと、香るは、花の匂いに、囲まれた、一人の花嫁。
幸せに…。
包まれた姿が、瞳に、浮かぶ。
僕も、何時かは。
着けてみたい洋服。
沢山の、匂いに、包まれた薫りは、どんな感じだろう。
六月の…。
花嫁。
サムシングフォーというのが存在するらしい。
青い物を、付けたら、幸せだとか。
『あの、小さき御霊は、不思議だね』
聞こえてくる声に、少し、照れてしまう。
『えへへっ…』
嬉しさが、込み上げる。
知っているだろうか。
僕が、纏う匂いは、花嫁を、イメージした薫り。
誰もが、手には出来ない、特別な匂いなんだよ。
だから…。
フラワーシャワーを、浴びている映像が、流れる。
きっと、幸せな瞬間を、噛み締めて。
君は、ブーケを、投げるのだろう。
晴天な空に、向かい、高く投げて…。
『happy』
なんて、素敵な言葉だろう。
ちょっと、嬉しいから、ワルツを一曲奏でながら、踊りたくなったな。
『聖霊王“オベロン”も、若い頃、ティターニャ様の前に…花吹雪を、起こして、愛を、表現したとか』
でも、僕は、ほんの少しだけ、夏という季節が、好きになりそうだ。
シェークスピアのイメージが、季節で言うと、夏。
そんな、感じがするのは。
多分、彼の想い出に、触れているから。
『ー…靉流という名前は、母様が、僕に、付けてくれた名前。何故『愛』じゃなく『靉』なのかは、聞いてみないと解らないけど、雲に、愛って何か、素敵なメロディーが、流れてきそう。不思議と、馴染んでいるから、僕は、自分の名前が好きなんだ…』
白いレースカーテンが、窓から吹く、微風に、撫でられていく瞬間、僕は、優しさに、包まれている。
聞こえてくる歌に…。
見えてくる世界。
これが、噂の。
ー…ウェンデングブーケ。
カラフルな、フラワーシャワーが。
しゅわしゅわなシャンパンと共に、飛び散っていく。
ともだちにシェアしよう!