108 / 119

11-1

「何故か、僕の実験は、上手くいかなくって」 嘘つき…。 ソナタの実験は、上手くいっている。 私よりも。 だって、見て、出している結果が、違う。 悔しい…。 コイツには、出来て、私には。 『光ある場所に、闇ある。ですから…“●●●”…』 汝の弔いが、訪れます様に、私は、貴方を許すでしょう。 神の恩恵に承けたまい、幾年の罪を許したまえ。 ー…アーメン。 私の心が、闇に、染まる事は、許されない。 だから…。 無数に広がる宇宙に願う。 生命とは? これが、意味する物とは? 『僕の世界は、こうである。まず、恩寵、求愛、そして…穏便な生活』 鳴呼、流石…。 未来に、生まれてくる、我と同じ者。 「ー…はっ…」 今のは、未来からの。 なんて、現実逃避している間に、起きた出来事とは。 「平気…?」 「あぁ、すまない。つい、考え事を…」 生命を誕生させるあたりに、色々と、渇望と、野望とが、入り交じっているのかも知れない。 少しばかり、休息が、必要なのかも知れないと思った。 「で、僕の考えを、聞いて欲しいんだ。生まれてくる子供の為にも」 「あぁ。私の母は、私に『火龍』を、生むと言っていた。けれど、もっと、不思議なのは…」 「叔父様も、言っていたな。君の母君は、本体が、本来の姿で、精神体は、大人だと。それって、遺伝する筈なんだと」 そこを、解明したくなったのは、最近。 母様は…。 ー…小さすぎる。 だけど、精神体は、大人なのだ。 私も、引き継いでいる筈。 なんて、考えてみたが、成長する一方で、何が、違うのかが解らない。 だけど、父様の遺伝が強いのが関係している。 少しだけ、開きたくなった、生まれた意味を示したあの日の事を。 紀元前以前以上前の物語を、此処で話すのは初めてだ。

ともだちにシェアしよう!