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11ー12
『鳴呼、どんな顔をしているのか、浮かびますよ』
呆れた様な声音で、吐きながら、考える癖は、直っていないわね。
本当、あの子は、因果と繋がる癖がある。
大昔に、忘れた筈なのに…。
叔父様の血筋は。
何時までも、私の血を引く御子は、脅威。
だって、魔界王族から名を消したとはいえ。
-…一応は、誇り高き、一族でしたもの。
『その方を、よく、ご存知ないのですが』
何れ、解りますよ…。
貴方達の時代になったら、深く、関わってくるでしょうから。
それは、深く、心髄まで。
侵食を…。
伸ばす。
愚かな、ハグれ者となった男の野望。
誰も、止める事が出来ず、伝染していく。
まるで…。
-…ウィルスみたいな存在。
それが、叔父様ですわ。
『脅威だ。殺さなければ、私が…』
“姪っ子”に、殺されると、恐怖を感じたあたりから、蝕まれていたのかも知れない。
だけど…。
誕生日の日に、殺す事を考える必要を無いと、思いますわ。
念入りに、計画しなければ、私に、同じ事をされますわ。有り難く、受け入れてくれたウェディングケーキ、最高の傑作だったのに。
匂いで、気付かれました。
鼻だけは良いから困りますわ。
蛆虫は、蛆虫らしく…。
抹消されるべきなんですよ。
-…叔父様。
『…恐いです。漏れてます、心の声』
業っとですよ…。
『俺に、娘を取られた怨みですか』
秘密。
そう、明かしてしまえば、面白味が無くなる。
だから、教えてあげないのが、正しいわ。貴方は、これから、触れていく事になる。
己が行くままに…。
追求していく、真相に向かって。
『暁の御子』とは、薄暗く、朝なのか、夜中なのか、ままならない時間帯に、産声を上げた子の事。
生まれた時、この子は、時空の中で生きていく覚悟があるのかを確認したくなった。
一人は、眠りに就き。一人は、夢の中で、呼吸をしながら生きている。
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