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第十二章:冥界政府大騒動事件(前編)

-冥界·冥界政府内·冥界官吏長室 これは、ある事が、きっかけで起きた事件である。 目撃者達は語るのであった。『あれは、地獄ですね。流石のカズラ様も、お怒りマックスでしたよ』と。 それは、数日前の冥界政府内の会議で、起こった事を記憶している。 原因といえば、目の前で、資料を見つめている冥界官吏長にあった。つい、先日、末息子が生まれたばかりで、めでたいのだが、其処は、冥界では嬉しい出来事で、拍手した。 「で、ギオン卿、末息子が、反抗期だからって、会議をそっち退けはいけません。私、言いましたよ。今回は、死神界も、関わってくるから、この、資料に、目を通して下さいと」 若老の男性が、資料に指を当てた。 そう、怒りの原因は何も、彼専属の部下だけじゃなく、男性もだったのだ。 大事な交渉が、危うく、台無しになる所だった。死神界の主である大死神は、少し、変わり者で、時間厳守な人物。 何事に対しても、迅速でなければいけない男で、彼からしたら、交渉決裂は、有り得ないのだ。 ミスをしたら、家系に響く。若い頃、憧れな伯父に教えてもらった。 「何故、アズイ卿は、この事に関して、迅速に、結果が欲しいのだ…」 「百四十回ぐらい説明しないと解りませんか?冥王」 若干、青筋が、顳かみに浮かぶ。 その評定は、専属の彼より、迫力がある。 同じ王族として自覚はあるが、身分を隠す為に、貴族に掻く下げまでした意図が読めないギオンだった。 此処、冥界政府内は、冥界官吏長を筆頭に冥界副官吏長が二人居る。目の前で、眼光を飛ばしている人物も、冥界副官吏長という立場にあるのだが。 -…誰に、似たのだ。 「いや…あの…」 「即、済ませてくれると助かります。これから、天界で、フラワーパーティーがあるんです…。一度は、断ったのですが、光皇帝の方々が『是非』と、仰るので、参加する事にしたんです」 嬉しそうに、微笑むアズイ。

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